日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] オンラインポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG25] 文化水文学

2023年5月25日(木) 13:45 〜 15:15 オンラインポスターZoom会場 (6) (オンラインポスター)

コンビーナ:中村 高志(山梨大学大学院・国際流域環境研究センター)、近藤 康久(総合地球環境学研究所)、安原 正也(立正大学地球環境科学部)、高橋 そよ(琉球大学)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/24 17:15-18:45)

13:45 〜 15:15

[HCG25-P02] 南東アラビアにおける先史時代の利水と治水の考古地理学的事例

*近藤 康久1、三木 健裕2、黒沼 太一1 (1.総合地球環境学研究所、2.東京大学総合研究博物館)

キーワード:文化水文学、考古地理学、オマーン、灌漑水路、ファラージュ

本発表では、セッションのテーマである文化水文学の視点から、南東アラビア乾燥地のオマーンにおける先史時代の灌漑施設の事例を再検討する。近年、オマーン内陸部のアラリド遺跡で、5000年前に遡る小水路址が検出された。近隣の世界遺産バート遺跡では、沖積低地縁辺の微高地に同時期以降の墓群と円形基壇(タワー)が形成される一方、低地に浅い涸れ谷を締め切るように石列が築かれ、洪水を堰き止めるダムの役割を果たしていたことが推測される。乾燥地の限られた水資源を有効活用する知恵は、後代の地下式灌漑水路システム「ファラージュ」に発展的に継承され、オマーン伝統社会の基礎をなす社会技術となっていった。