日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] オンラインポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG25] 文化水文学

2023年5月25日(木) 13:45 〜 15:15 オンラインポスターZoom会場 (6) (オンラインポスター)

コンビーナ:中村 高志(山梨大学大学院・国際流域環境研究センター)、近藤 康久(総合地球環境学研究所)、安原 正也(立正大学地球環境科学部)、高橋 そよ(琉球大学)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/24 17:15-18:45)

13:45 〜 15:15

[HCG25-P09] 人口減少地域における食料システムの窒素フロー
–山梨県を事例に–

*加藤 晃汰1、武田 浩志2、齋木 真琴3西田 継3 (1.山梨大学大学院医工農学総合教育部、2.山梨大学生命環境学部、3.山梨大学国際流域環境研究センター)

キーワード:食料システム、窒素フロー

緑の革命以来、窒素の人為的な生産は食料生産を拡大した。その一方で、食料システム(食料生産、消費、廃棄処理)では一部の窒素が環境中に流出し、環境汚染を引き起こす。そこで、地域を対象にした窒素フローモデルにより、食料システムの改善が提案されている(Li et al., 2023)。しかし、モデル対象地域が人口増加地域に限られており、人口減少地域は対象になっていない。人口減少地域では、食料を海外に依存し、自国の食料生産が減少しているため、窒素が自国に貯留している可能性が高い。そこで本研究では、人口減少地域として山梨県を対象に、食料システムの窒素フロー解析を行い、窒素管理のホットスポットを特定することを目的とした。

本研究では、まず山梨県における2011年および2015年の食料システムに関わる産業間の窒素フローを解析した。窒素フローは産業連関表およびその他既存統計から解析した。環境中に流出する窒素量、窒素形態については、文献値を使用した。

山梨県の食料システムへの窒素投入から排出までの結果の概略を図1に示した。図1より環境に流出した窒素量は、2011年から2015年に7.0%減少していた。環境流出した窒素の形態と排出環境、および排出源について、2011年と2015年の比較を図2にまとめた。まず、表流水および地下水圏については、排水由来の硝酸態窒素のみが5.5%増加していた。これらの窒素は汚染になりうる一方で、栄養源としても活用できる。例えば、藻類による燃料化が挙げられる。次に大気圏については、窒素の総排出量は16.8%増加していた。これらの排出源のうち、家畜由来の排出量が特に増加していた。これは山梨県における農地面積の減少により、家畜堆肥の県内への供給先が減少したためと考えられる。