日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS05] 地すべりおよび関連現象

2023年5月26日(金) 09:00 〜 10:15 106 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:王 功輝(京都大学防災研究所)、今泉 文寿(静岡大学農学部)、齋藤 仁(名古屋大学 大学院環境学研究科)、千木良 雅弘(公益財団法人 深田地質研究所)、座長:今泉 文寿(静岡大学農学部)、Zheng-yi Feng(National Chung Hsing University)

09:45 〜 10:00

[HDS05-04] 大谷崩と七面山崩れの地質構造の新しい知見

*千木良 雅弘1鄒 青穎2横山 修3 (1.公益財団法人 深田地質研究所、2.弘前大学農学生命科学部 、3.国土防災技術株式会社)

キーワード:斜面崩壊、スレート、トップリング、座屈

静岡県安倍川上流の大谷崩れは1707年の宝永地震で大崩壊し,その北方の七面山崩れは1854年安政東海地震と,それよりも前から崩壊していたと考えられている.Chigira(1992)は,七面山崩れは,スレートと砂岩がトップリングし,その最上部に正断層と凹地ができて,そこが崩れたと推定した.しかしながら,当時は危険なため崩壊地の中には入ることができず,遠望によって推定するにとどまっていた.大谷崩れも,崩壊地の中に入ることは危険なため,その地質構造の詳細は不明であった.我々は,両地域でドローン撮影を行い,地質構造を観察した.その結果,七面山崩れでは,複数の断層(おそらく正断層)を確認でき,また,著しい岩石破砕も確認できた.大谷崩れでは,崩壊地東側では,スレートのトップリングが,崩壊地西側ではスレートの座屈が生じており,両者が相まって巨大な崩壊が生じたと推定された.
Chigira, M. (1992). Long-term gravitational deformation of rocks by mass rock creep. Engineering Geology, 32, 157-184.