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[HDS06-P07] 紀伊半島西部における津波ハザードカーブと歴史津波の超過頻度の比較
キーワード:津波ハザードカーブ、津波痕跡高、南海トラフ地震、紀伊半島
津波ハザードカーブの妥当性評価を目的として,本研究では南海トラフ地震による紀伊半島西部の海岸線で津波ハザードカーブを構築し,過去の南海トラフ地震の津波超過頻度と比較した.波源シナリオには,藤原ほか(2020)の3480ケースの南海トラフ域の地震シナリオを使用した.津波伝播遡上計算では,平面2次元の非線形長波式をスタッカード格子・リープフロッグ法の有限差分法で解いた.津波計算負荷軽減のため,対象地域である和歌山県の沿岸域に向かって3層ネスティングを行い,最小格子間隔は2秒とした.各シナリオの発生頻度(地震発生確率)はG-R則に基づいた.G-R測の導出には気象庁地震カタログを用い,そのうち南海トラフ地震の震源域内の深さ50km以浅,M5.0以上,逆断層型地震で1919年から2020年までの地震のデータを利用した.G-R則で求めた年発生頻度と計算津波高のばらつきを考慮して津波ハザードカーブを作成した.津波超過頻度の推定には東北大学災害科学国際研究所の津波痕跡データベース(痕跡信頼度A~B)を使用した.なお,津波痕跡高データが欠損している場合は,過去地震の断層モデルを用いた津波計算により補填した.この津波計算で利用した断層モデルは安中ほか(2003)によるもので,1498年以降の南海トラフ地震を対象とした.任意の地点で特定の津波高(H)の閾値を超えるイベントをカウントし,イベント数を過去の南海トラフ地震の期間長570年で除して,歴史津波の超過頻度を求めた.検討したケースのうち,H>3.0mとH>5.0mのケースで,上の手順で求めた津波ハザードカーブの95%信頼区間から外れる地点があった.和歌山県南西部の印南町でその傾向が強く確認された.仮説になるが,印南町の地点はV字湾であること,過去の地形が埋め立てられて変化したことが原因だと考えられる.この仮説を検証するために,今後は過去の地形データを再現し,すべての津波シナリオを再計算して比較する予定である.