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[HDS06-P09] 2011年東北地方太平洋沖地震における津波の減衰過程
キーワード:津波、減衰過程
遠地地震津波や巨大地震による津波は,後続波の影響が大きく継続時間が長いため減衰の予測が難しい.明確な数値的根拠をもって津波警報・津波注意報を解除するために,津波の減衰を予測する技術の向上が求められている.本研究では2011年東北地方太平洋沖地震津波の減衰過程について,数値シミュレーションにより再現を試みた.ここでは,林(2010)で定義された移動自乗平均振幅(MRMS振幅)を利用した.観測MRMS振幅波形は,地震発生後48時間後までの津波波形を平方し窓幅64分で移動平均して平方根をとった値から,地震発生前3時間分のMRMS振幅の平均値を引き,0未満の範囲を切り捨てる手順で算出した.計算MRMS振幅波形は,数値計算から得た津波波形を平方し,窓幅64分で移動平均して平方根をとり算出した.この計算MRMS振幅の観測MRMS振幅に対する再現精度を,RMSEで評価した.数値計算にはSatake et al.(2013)の津波波源モデルを用い,地形データにはネスティングにより観測点周辺の空間分解能を向上させた.ネスティンググリッド1層目は線形長波理論式,2層目以降は非線形長波理論式を適用した.解析地点は,花咲・布良・岡田・父島・阿波由岐・奄美の検潮所6地点と釧路港の沿岸波浪計(NOWPHAS)1地点と宮城北部沖・宮城中部沖・徳島海陽沖のGPS波浪計3地点である.
計算に用いる地形の範囲や分解能を変えて計算を実施した.計算範囲を天皇海山列までと太平洋北半球全体に広げた場合の比較では,MRMS振幅の再現性に大きな違いが見られ,太平洋北半球全体に広げた場合のほうが再現性が良かった.太平洋北半球全体の計算においては,観測点周辺の地形分解能を上げるにしたがってMRMS振幅の再現性が向上した.一方,計算範囲を天皇海山列までに制限した場合では,観測点周辺の地形分解能を上げてもMRMS振幅の再現性の向上は見られなかった.解析地点によりMRMS振幅波形の再現に必要な地形分解能は異なり,花咲は最小格子間隔20秒で十分再現できるのに,布良は20/3秒,岡田は20/9秒,父島・阿波由岐・奄美は20/27秒が必要であった.釧路港・宮城北部沖・宮城中部沖・徳島海陽沖は沖合に設定しているため最小格子間隔20秒で充分であった.再現に必要な分解能は周辺の地形形状によるものであると考えられる.また,更に計算領域を太平洋全域に拡大した検討も行ったが,地震発生後48時間後までの再現においては,本研究で検討した全地点で太平洋北半球を計算範囲とした計算で十分であるとの結論を得た.
計算に用いる地形の範囲や分解能を変えて計算を実施した.計算範囲を天皇海山列までと太平洋北半球全体に広げた場合の比較では,MRMS振幅の再現性に大きな違いが見られ,太平洋北半球全体に広げた場合のほうが再現性が良かった.太平洋北半球全体の計算においては,観測点周辺の地形分解能を上げるにしたがってMRMS振幅の再現性が向上した.一方,計算範囲を天皇海山列までに制限した場合では,観測点周辺の地形分解能を上げてもMRMS振幅の再現性の向上は見られなかった.解析地点によりMRMS振幅波形の再現に必要な地形分解能は異なり,花咲は最小格子間隔20秒で十分再現できるのに,布良は20/3秒,岡田は20/9秒,父島・阿波由岐・奄美は20/27秒が必要であった.釧路港・宮城北部沖・宮城中部沖・徳島海陽沖は沖合に設定しているため最小格子間隔20秒で充分であった.再現に必要な分解能は周辺の地形形状によるものであると考えられる.また,更に計算領域を太平洋全域に拡大した検討も行ったが,地震発生後48時間後までの再現においては,本研究で検討した全地点で太平洋北半球を計算範囲とした計算で十分であるとの結論を得た.