10:45 〜 12:15
[HDS07-P01] 津波避難意思決定脳過程の情報タイプによる違い:fMRI研究
キーワード:災害避難、意思決定、脳
災害リスク軽減のための災害避難意識醸成に向け、災害に関わる情報がどのように避難意思決定につながるか、その心理過程を理解しておくことは有益であろう。例えば、地震後の津波避難で処理される情報には、震度や震源域といったメディアから取得する定量的情報(図1A)と、自身の体験で五感から得られる定性的情報(図1B)と、大きく2種類に分けられる。
本研究ではそこで、避難意思決定の心理過程が、これら2つの情報タイプでどのように異なるのかを明らかにするために、避難意思決定課題実施中の脳活動について、定量シナリオと定性シナリオの比較を行った。
方法:58名の大学生(男性31名・女性27名;21.5 ± 1.3(SD)歳)を対象に機能的MRIを用いた脳活動計測実験を行った。参加者はMRI中で40試行の津波避難意思決定課題(定量20シナリオ・定性20シナリオ;避難するかしないか2択)を行った。
結果:津波避難意思決定課題実施中の脳活動を2つのシナリオタイプで比較したところ、定量シナリオでより高い脳活動が右大脳半球優位に頭頂間溝(IPS)周囲皮質で(図2A)、定性シナリオでより高い脳活動が両大脳半球の側頭頭頂接合部(TPJ)及び腹外側前頭前野(vlPFC)で(図2B)認められた。
考察:思考においてIPSは形式的思考や検証可能な命題の処理に、TPJとvlPFCは具体的思考や検証不可能な命題の処理に関与することが知られている。定量シナリオと定性シナリオが、それぞれこれら異なる思考処理を特徴とすることは合理的であり、これらに基づいた避難意思決定過程やそれに干渉するための教育介入過程も、戦略を区別することにメリットがあるかもしれない。
本研究ではそこで、避難意思決定の心理過程が、これら2つの情報タイプでどのように異なるのかを明らかにするために、避難意思決定課題実施中の脳活動について、定量シナリオと定性シナリオの比較を行った。
方法:58名の大学生(男性31名・女性27名;21.5 ± 1.3(SD)歳)を対象に機能的MRIを用いた脳活動計測実験を行った。参加者はMRI中で40試行の津波避難意思決定課題(定量20シナリオ・定性20シナリオ;避難するかしないか2択)を行った。
結果:津波避難意思決定課題実施中の脳活動を2つのシナリオタイプで比較したところ、定量シナリオでより高い脳活動が右大脳半球優位に頭頂間溝(IPS)周囲皮質で(図2A)、定性シナリオでより高い脳活動が両大脳半球の側頭頭頂接合部(TPJ)及び腹外側前頭前野(vlPFC)で(図2B)認められた。
考察:思考においてIPSは形式的思考や検証可能な命題の処理に、TPJとvlPFCは具体的思考や検証不可能な命題の処理に関与することが知られている。定量シナリオと定性シナリオが、それぞれこれら異なる思考処理を特徴とすることは合理的であり、これらに基づいた避難意思決定過程やそれに干渉するための教育介入過程も、戦略を区別することにメリットがあるかもしれない。