日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] オンラインポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS09] 中部日本におけるサブダクションと活断層ハザード

2023年5月22日(月) 15:30 〜 17:00 オンラインポスターZoom会場 (2) (オンラインポスター)

コンビーナ:吾妻 崇(国立研究開発法人産業技術総合研究所)、鈴木 康弘(名古屋大学)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/21 17:15-18:45)

15:30 〜 17:00

[HDS09-P08] 活断層の地震ハザード情報を社会にどのように伝えるか

*鷺谷 威1光井 能麻1、橋冨 彰吾1 (1.名古屋大学減災連携研究センター)

キーワード:地震ハザード、地震発生確率、地震動予測、アウトリーチ

一般に、活断層で発生する地震はプレート沈み込み境界で発生する大地震よりも規模は小さいが、ひとたび発生すれば強い揺れや地表のずれによって周辺地域に多大な被害をもたらす。活断層地震は発生頻度が極めて低く、同じ活断層で大地震が発生する間隔は短くても数百年で、数万年に1回というケースも珍しくない。活断層地震は典型的な低頻度大規模災害と言え、その極端に低い発生頻度が防災対策を困難にしている。日本では1995年の兵庫県南部地震以降、網羅的な活断層調査や地震動予測が実施され、その成果は長期評価や地震動予測地図として公表されているが、こうした情報はそもそも大きな不確実性を持ち、また表現が難解となることが避けられない。我々は、令和2〜4年度に実施された「屏風山–恵那山断層帯及び猿投山断層帯における重点的調査観測」の一環として、活断層の地震ハザードの社会への伝え方について検討することを目的として、理学・工学の専門家へのアンケート調査、自治体防災関係者への聞き取り調査、一般住民を対象としたアンケート調査などを実施した。本講演では、そうした調査から得られた活断層の地震ハザードの公表方法の問題点を整理し、改良方法について議論する。
現在、地震調査研究推進本部が提供している地震ハザード情報は地震発生確率や震度の情報であるが、専門的なデータや分析結果と、住民向けに提供する分かり易い情報を明確に区別する必要がある。活断層地震の30年確率は多くの場合数%以下の低い値のため、社会に提供する情報としては殆ど意味が無い。敢えて確率を示す場合には、たとえ低確率でも備えるべきリスクがあることを丁寧に説明する必要がある。自治体担当者に対しては、住民向けの説明を容易にするような素材の提供が求められる、また、住民向けの情報としては、予想震度にとどまらず、予想される被害や必要とされる対策が必要である。