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[HGG01-04] 神社を用いる空間科学的な研究の可能性
キーワード:神社、奉納物、1995年兵庫県南部地震、空間科学
神社は1000年以上も継続している日本文化としての聖空間であり,それは社殿,社叢林,奉納物等で構成される。この発表では神社の奉納物や景観の調査結果に基づき,神社を対象とする空間科学的な研究の視点を紹介する。大阪平野のような沖積平野にある神社を対象として検討する。地理情報解析のため,平野別に奉納物の種類,奉納年,材質,記載内容,状態の項目別にデータベースを作成した。奉納物の種類は,鳥居,狛犬,灯篭,手水舎,幟枠石,その他である。奉納年は和暦年を換算した西暦年で示した。そのデータベースに基づき,特定の年単位での奉納物の個数と分布を明らかにした。
武庫川と淀川の下流域にある81の神社で,2046個の奉納物と境内の土地利用状況などを調査した。奉納物数の年変化のグラフから,いくつかの時代に続く大きな増加イベントと,戦争・改元を契機とする小さな増加イベントを認識することができる。自然災害を契機とする奉納物数の変化は,長くても10年程度の小さな増加イベントである。増加イベント時の奉納物数の個数または割合に基づく地理情報解析から,1995年兵庫県南部地震での震災の帯を復元しまたその延長を推定できた。同様の解析を1854年安政南海地震の被害に対し試行した。さらに地域性を持つその他の奉納物を用いたGIS解析を通じて,文化や流行の偏在分布を示した。
本研究は以下のようにまとめられる。奉納物の数や割合から被災範囲を推定できるため,その地理情報の解析手法は,詳細な記録がない地域や時代において,自然災害に止まらず文化や流行にも適用できる。これらの推定は,奉納物をイベント堆積物に概念上で置き換えることで実現した。神社の空間科学的なその他の研究項目として,建物用途や土地利用などが挙げられる。聖空間維持の地理条件を明らかにするために,神社の各研究項目の地域性やその変化に関し,今後,調査と議論が必要である。
武庫川と淀川の下流域にある81の神社で,2046個の奉納物と境内の土地利用状況などを調査した。奉納物数の年変化のグラフから,いくつかの時代に続く大きな増加イベントと,戦争・改元を契機とする小さな増加イベントを認識することができる。自然災害を契機とする奉納物数の変化は,長くても10年程度の小さな増加イベントである。増加イベント時の奉納物数の個数または割合に基づく地理情報解析から,1995年兵庫県南部地震での震災の帯を復元しまたその延長を推定できた。同様の解析を1854年安政南海地震の被害に対し試行した。さらに地域性を持つその他の奉納物を用いたGIS解析を通じて,文化や流行の偏在分布を示した。
本研究は以下のようにまとめられる。奉納物の数や割合から被災範囲を推定できるため,その地理情報の解析手法は,詳細な記録がない地域や時代において,自然災害に止まらず文化や流行にも適用できる。これらの推定は,奉納物をイベント堆積物に概念上で置き換えることで実現した。神社の空間科学的なその他の研究項目として,建物用途や土地利用などが挙げられる。聖空間維持の地理条件を明らかにするために,神社の各研究項目の地域性やその変化に関し,今後,調査と議論が必要である。