13:45 〜 15:15
[HGG01-P08] 小松市埴田町で吹く冬季夜間の風と茶栽培との関係について
キーワード:局地風、接地逆転層、気象資源、茶栽培、石川県小松市
石川県小松市埴田町周辺では冬季の山から吹く早朝の風があることが現地で知られている.他の地域では冬期に吹く夜間・早朝の山からの風は気象資源として活用されている事例がある.これは晴天夜間の山や谷からの斜面下降風が強く吹く地域では放射冷却現象によって発生する接地逆転層を壊し昇温する現象によるものであり,農作物の凍霜害のリスクを軽減する風として研究されている.小松市埴田町では霜害によって大きな影響を受ける茶栽培が盛んに行われていた地域である.
今回の研究では小松市埴田町で吹くとされる冬季の山からの風および風と茶栽培との関係を検討するために,現在も茶樹が残っている地点において自動気象観測装置を使った観測を行った.その結果,特異な南東方向の成分を持つ風が強い放射冷却現象が発生している夜間に観測され,また同時に風が吹くことによる気温の昇温事例も確認された.
この風の機構を解明するためにNCAR(National Center for Atmospheric Research)で開発された領域気象モデルWRF (Weather Research and Forecasting)を用いた数値シミュレーションによる再現実験を行った.この再現実験によって小松市埴田町で吹く風は石川県小松市と白山市にまたがっている火燈山周辺の山岳からの斜面下降風および火燈山の南の谷間から吹いてくる風であることが示唆された.
今回の研究によって小松市埴田町では冬季夜間晴天時に,接地逆転層を破壊し昇温をもたらす風があることが明らかとなった.この風は小松市埴田町で栽培されていた茶にとって霜害を抑制するはたらきをもったものであり,気象資源としての役割を果たしていたことが推察される.小松市埴田町で茶栽培が発展した要因の一つとして風が吹くという気象要素があったことが示された.
風という自然環境と地域産業を結び付けることによって得られた今回の研究成果のように地域の利用が失われた,また認識がなかった自然環境を研究し発見することは持続可能な社会を生きていくうえでの知恵や技術の一つとなる可能性がある.地域ごとの小さな気象の違いを研究し認識をして活かすことができる部分を活かしていくことが必要であり,今後のさまざまな利用の取り入れ方によって気象資源がより活用されていくことが期待される.
今回の研究では小松市埴田町で吹くとされる冬季の山からの風および風と茶栽培との関係を検討するために,現在も茶樹が残っている地点において自動気象観測装置を使った観測を行った.その結果,特異な南東方向の成分を持つ風が強い放射冷却現象が発生している夜間に観測され,また同時に風が吹くことによる気温の昇温事例も確認された.
この風の機構を解明するためにNCAR(National Center for Atmospheric Research)で開発された領域気象モデルWRF (Weather Research and Forecasting)を用いた数値シミュレーションによる再現実験を行った.この再現実験によって小松市埴田町で吹く風は石川県小松市と白山市にまたがっている火燈山周辺の山岳からの斜面下降風および火燈山の南の谷間から吹いてくる風であることが示唆された.
今回の研究によって小松市埴田町では冬季夜間晴天時に,接地逆転層を破壊し昇温をもたらす風があることが明らかとなった.この風は小松市埴田町で栽培されていた茶にとって霜害を抑制するはたらきをもったものであり,気象資源としての役割を果たしていたことが推察される.小松市埴田町で茶栽培が発展した要因の一つとして風が吹くという気象要素があったことが示された.
風という自然環境と地域産業を結び付けることによって得られた今回の研究成果のように地域の利用が失われた,また認識がなかった自然環境を研究し発見することは持続可能な社会を生きていくうえでの知恵や技術の一つとなる可能性がある.地域ごとの小さな気象の違いを研究し認識をして活かすことができる部分を活かしていくことが必要であり,今後のさまざまな利用の取り入れ方によって気象資源がより活用されていくことが期待される.