11:45 〜 12:00
[HGM02-10] 大崩山バソリスの割れ目構造と地形
キーワード:花崗岩、柱状節理、岩塔
筆者らは,甲府花崗岩体や広島花崗岩体の割れ目構造をUAVを使って3次元的に研究してきた.そして,瑞牆山や地蔵ヶ岳の岩塔が岩体上部で急速に冷却されて形成された柱状節理に起因するものであることを明らかにしてきた(Chigira, 2021; Chigira, 2022).しかしながら,これらの岩体では,岩体の上のルーフが侵食されて残されていないため,柱状節理とルーフとの関係は明確になっていなかった.
大崩山バソリスは,宮崎県北部にある中新世の岩体で,その上のルーフが残存し,そこから下約1000mの間の岩体が観察できる数少ない岩体である.高橋(1986)によって岩石学的研究が行われ,上下方向に岩石の累帯構造があることが報告された.しかしながら,その岩体の割れ目構造は明確になっていなかった.筆者らは,大崩山周辺で地質踏査を行うとともに,UAVを用いて割れ目を3次元的に調査した.その結果,ルーフから下に200mから300mまでの花崗岩と花崗閃緑岩に柱状節理が発達し,それよりも下方には節理の発達は極めて乏しく,塊状であることがわかった.このような構造は,ルーフ近くの岩体が深部に比べて速く冷却して形成されたものと推定される.
引用文献
Chigira, M. (2021). Rock pillars shaped by columnar joints in granite at Mt. Mizugaki, central Japan. Island Arc, 30, e12424. doi:10.1111/iar.12424
Chigira, M. (2022). An obelisk‐shaped granitoid tower at Mt. Jizogadake in the Southern Alps of Japan : A 3‐D morphological study. Island Arc, 31(1). doi:10.1111/iar.12449
Takahashi, M. (1986). Anatomy of a middle Miocene valles-type caldera cluster: geology of the Okueyama volcano-plutonic complex, southwest Japan. Journal of Volcanology and Geothermal Research, 29, 33-70.
大崩山バソリスは,宮崎県北部にある中新世の岩体で,その上のルーフが残存し,そこから下約1000mの間の岩体が観察できる数少ない岩体である.高橋(1986)によって岩石学的研究が行われ,上下方向に岩石の累帯構造があることが報告された.しかしながら,その岩体の割れ目構造は明確になっていなかった.筆者らは,大崩山周辺で地質踏査を行うとともに,UAVを用いて割れ目を3次元的に調査した.その結果,ルーフから下に200mから300mまでの花崗岩と花崗閃緑岩に柱状節理が発達し,それよりも下方には節理の発達は極めて乏しく,塊状であることがわかった.このような構造は,ルーフ近くの岩体が深部に比べて速く冷却して形成されたものと推定される.
引用文献
Chigira, M. (2021). Rock pillars shaped by columnar joints in granite at Mt. Mizugaki, central Japan. Island Arc, 30, e12424. doi:10.1111/iar.12424
Chigira, M. (2022). An obelisk‐shaped granitoid tower at Mt. Jizogadake in the Southern Alps of Japan : A 3‐D morphological study. Island Arc, 31(1). doi:10.1111/iar.12449
Takahashi, M. (1986). Anatomy of a middle Miocene valles-type caldera cluster: geology of the Okueyama volcano-plutonic complex, southwest Japan. Journal of Volcanology and Geothermal Research, 29, 33-70.