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[HGM02-P04] 中世山城跡およびその周辺斜面における斜面崩壊の地形的特徴 ―2014 年広島豪雨の事例―
キーワード:人工改変地形、遺構、斜面災害、盛り土、LiDAR
2014年8月20日に広島市安佐南区・安佐北区で発生した豪雨により,中世山城跡を含む花崗岩の山地において多数の斜面崩壊が発生した.本研究では,2つの中世山城跡とそれらの周辺の花崗岩山地において発生した崩壊地の地形的特徴を調査した.合計66か所の崩壊地を対象に崩壊前後の1 m 解像度のDEMを用いて,集水面積や崩壊深などの地形量を測定した.また,城跡の領域の特定には山城跡の簡易測量図を活用し,城構造との位置関係から崩壊地を分類した.地形解析の結果,城跡そのものの崩壊地は3か所存在し,そのうち2か所は城跡部分の崩壊深が大きく(3.1-3.2 m),1 か所は 崩壊深が小さかった(1.8 m).これらの事例では,崩壊深が城跡の形状に依存していたと推測される.また,集水域内に堀と呼ばれる谷状の構造が含まれる崩壊地は2か所存在し,どちらも崩壊深が非常に大きかった(3.5-7.9 m).これらの崩壊地は,地盤の改変による水の集中や,築城時や使用時に生じた人為的な土砂移動の影響を受けた可能性がある.集水域内に谷状構造以外の城跡が含まれる崩壊地は7か所存在した.地形的特徴に注目する限りでは,これらの崩壊と自然斜面の崩壊の間には明瞭な違いがなく,これらの崩壊地では城跡の影響が小さかったと推測される.