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[HSC04-03] 二酸化炭素と水の相挙動とダイナミクスに関する分子動力学計算による研究
キーワード:CO2地中貯留・利用、地熱貯留層、相挙動、分子動力学シミュレーション
近年、大気中へのCO2排出量削減や資源開発を目的として、地中へのCO2圧入に関する研究開発が活発に進められている。著者らは、熱水が存在する地熱貯留層に対して、CO2を熱媒体として圧入し発電を行う技術(CO2-EGS)の研究を進めている。貯留層内での水理特性はエネルギー回収効率の重要因子の一つであり、CO2・水系の界面物性や相挙動について理解することが必要である。従来のCO2地中貯留を対象とした40℃付近の温度条件では数多くの先行研究が報告されている。しかし、地熱貯留層を対象とした条件、特に200℃以上での先行研究の数は限られており、特に、水理特性の理解に対して特に重要な毛管圧力や拡散係数、粘性係数については検討が行われていない。
そこで、著者らはCO2-EGSの貯留層を想定した温度・圧力におけるCO2と水の界面現象や相挙動を理解するため、昨年度から分子動力学シミュレーションによる研究を実施している。今回の発表では、CO2・水系の相挙動とダイナミクスについての検討結果を報告する。
まず、CO2-水界面張力とCO2の溶解度の観点から実験データの再現性の高い分子間相互作用パラメータを決定し、CO2モル分率の異なる系(0%から100%まで11パターン)での計算を、複数の温度(40, 100, 200, 270, 300℃)・圧力(10, 30MPa)条件で行った。その結果、CO2と水の相分離条件に関して、実験データや状態方程式(Peng-Robinson, SRK, PC-SAFT)の結果と整合的であることを確認した。これを踏まえて、水素結合数や水分子の四面体性、配位数などの指標をもとに、相変化に伴う構造性の変化について原子レベルの視点から検討した。さらに、混合状態での拡散係数を計算し、構造性とダイナミクスの関係性について考察した。
本研究で得られた知見によって、地熱貯留層を含む幅広い温度条件でのCO2・水系の挙動に関する基礎的な理解が深まるとともに、CO2-EGSプロジェクトで実施されている岩石コアを用いた流動試験の結果の解釈や、貯留層シミュレーションのパラメータのキャリブレーションへの寄与が期待される。
そこで、著者らはCO2-EGSの貯留層を想定した温度・圧力におけるCO2と水の界面現象や相挙動を理解するため、昨年度から分子動力学シミュレーションによる研究を実施している。今回の発表では、CO2・水系の相挙動とダイナミクスについての検討結果を報告する。
まず、CO2-水界面張力とCO2の溶解度の観点から実験データの再現性の高い分子間相互作用パラメータを決定し、CO2モル分率の異なる系(0%から100%まで11パターン)での計算を、複数の温度(40, 100, 200, 270, 300℃)・圧力(10, 30MPa)条件で行った。その結果、CO2と水の相分離条件に関して、実験データや状態方程式(Peng-Robinson, SRK, PC-SAFT)の結果と整合的であることを確認した。これを踏まえて、水素結合数や水分子の四面体性、配位数などの指標をもとに、相変化に伴う構造性の変化について原子レベルの視点から検討した。さらに、混合状態での拡散係数を計算し、構造性とダイナミクスの関係性について考察した。
本研究で得られた知見によって、地熱貯留層を含む幅広い温度条件でのCO2・水系の挙動に関する基礎的な理解が深まるとともに、CO2-EGSプロジェクトで実施されている岩石コアを用いた流動試験の結果の解釈や、貯留層シミュレーションのパラメータのキャリブレーションへの寄与が期待される。