日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[E] オンラインポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT14] Geographic Information Systems and Cartography

2023年5月25日(木) 13:45 〜 15:15 オンラインポスターZoom会場 (5) (オンラインポスター)

コンビーナ:小口 高(東京大学空間情報科学研究センター)、若林 芳樹(東京都立大学大学院都市環境科学研究科)、Yuei-An Liou(National Central University)、王 汝慈(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)


現地ポスター発表開催日時 (2023/5/24 17:15-18:45)

13:45 〜 15:15

[HTT14-P05] 火星南半球におけるローブ状地形の分布

*鈴木 留名1小口 高1 (1.東京大学大学院)


キーワード:火星、周氷河地形、ソリフラクションローブ、凍結融解作用、GIS

火星では小規模ローブと呼ばれる舌状の地形が見られる。これらは地球上のソリフラクションローブと類似している。ソリフラクションローブは土壌水分の凍結融解に伴う緩慢な速度の物質移動によって形成される。火星の小規模ローブは数百万年前に形成され、地球のソリフラクションローブとの類似性から地形形成に水が関与した可能性が高いと指摘されている。これまで、火星の小規模ローブは両半球の中・高緯度で発見されており、緯度に依存して存在すると示唆されている。既存研究では北半球を調査したものが多く、南半球を調査したものは少ない。
小規模ローブの分布を明らかにし、形成過程や形成に関与したであろう液体の組成や供給源を推定することは、火星の過去環境やハビタビリティを理解する上で重要である。さらに水や氷の分布指標として検討することで、将来の有人火星探査の資源探査に活用できる可能性がある。本研究では、これまで調査されていない地域を含む南緯30度~南緯80度の小規模ローブの分布を明らかにし、その分布の要因を考察することを目的とする。
25㎝/pixの解像度を持つHigh Resolution Imaging Science Experiment (HiRISE)で取得された画像を用いて、解析を行った。画像の選択にはMars Orbital Data Explorer (ODE)を使用し、数値地形モデル(DTM)が作成されている範囲を中心に南緯30度~南緯80度の画像を抽出した。得られた画像とHiRISE 画像を探索することに特化したアプリケーションのHiViewを用いて、表面の特徴を観察した。分布図の作成や解析には、地理情報システム(GIS)のソフトウェアを用いた。
検討の結果、これまで小規模ローブが発見されていた緯度帯よりもさらに低い緯度で、小規模ローブの特徴を持つ地形を発見した。本発表では火星の南半球に存在する小規模ローブの分布と特徴について、新発見のものを含めて報告する。