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[HTT16-02] 雲の影響が受けやすい地域での地球観測衛星画像を用いた土地利用マップ作成
キーワード:画像分類、区域分類、二項分類、中時空間解像度
土地利用マップは、時空間的な利点を持つ地球観測衛星のマルチスペクトル画像を基に作られる。一方、雲の影響を受けやすい日本海側の地域は、良質の画像を得にくいため、既往の作成手法では、高精度の土地利用マップ作成が難しい。そこで、本研究では、富山県を対象とし、マルチスペクトル画像にオープンソースデータを応用する新たな土地利用マッピング手法を開発し、中時空間解像度を持つ1985~2020年の土地利用マップデータセットを作成した。ここで、中時空間解像度とは、隔年単位のマッピングと30mの空間解像度をもつ土地利用マップデータセットを意味する。土地利用マッピングにあたり、1985年から2020年のランドサット画像のうち、雲カバー率が50%以下である181枚の画像を収集し、ランダムフォレストによる機械学習の教師付き画像分類を2回行うことで初期中時空間解像度土地利用マップを作成した。1回目の画像分類は、181枚すべてを6項目(水面、都市、農地、荒地、低木地、森林)への土地利用を持つよう画像分類を行った。2回目の画像分類は、隔年単位に画像を重ね合わせ、画像間の土地利用の差異を用いた画像分類を行い、分類精度の向上を図った。次に、得られた初期中時空間解像度土地利用マップに、OpenStreetMapの道路と鉄道データを用いた区域分類と、農林水産省の農地面積調査データを用いた二項分類を組み合わせた再分類を行った。ここで、区域分類は、区域内の土地利用を統一するために用いられる手法であり、区域内の最頻土地利用で分類した。また、区域内で農地が他の土地利用と混在しているとき、農地が10%以上あれば農地と判定した。その理由は、果樹園、畑などが荒地、低木地などに誤分類されやすいのを補正し、次の二項分類を適用するためである。二項分類は、過大評価された農地を農地面積調査データと一致するよう再分類するものであり、区域分類で農地と判定された区域で行った。これは、隔年単位に各ピクセルあたりの最大NDVIと最大NDWIを算出し、両者の合計の最大値が1になる空間指数データを作成している。空間指数データを用い、農地面積調査データを超える空間指数データを閾値とし、閾値より高いと農地、低いと都市に分類した。最後に、土地利用変化の妥当性を確認し、時間補正を行うことで、最終的な中時空間解像度土地利用マップを作成した。その結果、全期間における精度が92%以上の高精度の土地利用マップが得られた。高い精度、高解像度のマップを過去30年間にわたって再現した。