10:45 〜 12:15
[HTT16-P01] 空間行動に着目したオープンカフェと街路の関係
キーワード:道路空間、オープンカフェ、席選択、視線
1.はじめに
近年、道路空間も活用し、都市の賑わい創出に向けた取り組みが注目されている。国土交通省では、道路の利活用に対する社会のニーズに応え、道路空間をより充実したものにするため、道路占用制度の見直しを進めるとともに、警察庁とも連携して、地域の合意等を前提とした道路空間の多様なあり方について、都市再生特別措置法等に基づいて取り組んでいる。これらは歩行者の増加や周辺店舗の売り上げ向上などの効果が期待され、居心地の良い空間づくりに寄与する。
道路空間における、オープンカフェ事業は、様々な地域で実施されている。これは、社会のニーズに応えられる事業であると実証されているからである。
2.研究の目的と方法
本研究ではオープンカフェの現状と課題を分析し、日本でオープンカフェが有効に活用されるための知見を得ることを目的とする。つまり利用者の心理と利用時の行動と空間構成の関係を明らかにする。
オープンカフェに関する研究は、オープンカフェの魅力や周辺地域との関係は多数あるが、オープンカフェ利用者のニーズに応えるデザインを考える論文は数少ない。そこで、本研究では今後オープンカフェを設計する際に有効なデザインを見つけ、集客の向上および空席を減少させることができ、店舗における売り上げの増加や地域の活性化に貢献できるデータ取得を目的とする。
オープンカフェの特徴は、開放的で、空間の境界がはっきりとしておらず、利用者は道路からの視線や音、交通量など、周辺環境の影響を大きく受けることが予想される。本研究では、視線に周辺公共空間との関係を代表させ、つまり「見る-見られるの関係」が利用者にどのような影響を与えるのかを調査する。
方法として、アンケート調査を実施し、オープンカフェの仕切りの変化に対して席の選択にどのような傾向がみられるのか調査する。次に実際のオープンスペースに仕切りを設置して、アンケートと同様の傾向がみられるのかを調査する。
3.アンケート調査
本調査は、オープンテラス前の仕切りが変わることで人は選ぶ座席に変化が生じ、どのような傾向が見られるかを調べることを目的とする。ここでの調査方法は、利用人数を設定して、仕切りの異なるオープンカフェの画像を見せ、その画像の店を利用する際、店舗側、街路側の記載がある、座席表からどの座席を利用するかというアンケートを10代から60代の男女180人に実施した。
その結果、仕切りや使用人数による影響がある可能性があることがわかる。仕切りが高いときは街路側の、低いときは店舗側の席の利用率が高いことから、店舗側、街路側の選択は、仕切りの高さによる影響が大きいことが明らかになった。これは歩行者からの視線が影響することが考えられる。また中央の席は人数による影響が大きく、1人や2人場合に比べ、4人の場合に利用率が高いことが明らかになった。
4.実験調査
実験調査では、アンケート調査の結果より仕切りの高さで利用する席の傾向が変わることから、その結果を用いて、実験調査を行っていく。実験調査では実際にオープンスペースを利用して、ビデオ撮影による利用率の調査を行う。つまりオープンテラスを仮定したスペースの前に置く植栽の高さによって座席選択へどの程度影響が与えられているかを数量的に示すことがこの調査の目的である。
調査方法として、奈良県桜井市桜井駅南口の一時駐車場に設置された、休憩スペースの一部に椅子とテーブル5組とソファテーブル1組を設置し、その前方に高い植栽と低い植栽を置いた場合の座席選択の傾向をビデオ撮影により調べた。
その結果、植栽が高いとき、低いときともに店舗側の席が利用されやすく、また植栽が高い時には、中央にある席が、低い時には端の席が利用されにくいことがわかった。このことから仕切りの植栽の高さが変化すると選択される席の傾向が変わることが明らかになった。
実験の結果から仕切りによる視覚の変化で、座席利用の傾向が変わることは確認されたが、植栽が低いときに後列の選択率が増加する等、アンケートの内容とは完全に一致しなかった。
5.おわりに
本研究では、オープンカフェの利用率を見る-見られるの関係に着目して、利用人数および仕切りを変更した席選択のアンケート調査と実験調査をおこなった。
アンケートの結果から仕切りの種類や利用人数で選択の傾向が変わることが明らかになった。この結果を受け、オープンスペースに高さの違う植栽を設置して選択率を調査する実験調査をおこなったが、アンケートとは相違点が見られる結果となった。
近年、道路空間も活用し、都市の賑わい創出に向けた取り組みが注目されている。国土交通省では、道路の利活用に対する社会のニーズに応え、道路空間をより充実したものにするため、道路占用制度の見直しを進めるとともに、警察庁とも連携して、地域の合意等を前提とした道路空間の多様なあり方について、都市再生特別措置法等に基づいて取り組んでいる。これらは歩行者の増加や周辺店舗の売り上げ向上などの効果が期待され、居心地の良い空間づくりに寄与する。
道路空間における、オープンカフェ事業は、様々な地域で実施されている。これは、社会のニーズに応えられる事業であると実証されているからである。
2.研究の目的と方法
本研究ではオープンカフェの現状と課題を分析し、日本でオープンカフェが有効に活用されるための知見を得ることを目的とする。つまり利用者の心理と利用時の行動と空間構成の関係を明らかにする。
オープンカフェに関する研究は、オープンカフェの魅力や周辺地域との関係は多数あるが、オープンカフェ利用者のニーズに応えるデザインを考える論文は数少ない。そこで、本研究では今後オープンカフェを設計する際に有効なデザインを見つけ、集客の向上および空席を減少させることができ、店舗における売り上げの増加や地域の活性化に貢献できるデータ取得を目的とする。
オープンカフェの特徴は、開放的で、空間の境界がはっきりとしておらず、利用者は道路からの視線や音、交通量など、周辺環境の影響を大きく受けることが予想される。本研究では、視線に周辺公共空間との関係を代表させ、つまり「見る-見られるの関係」が利用者にどのような影響を与えるのかを調査する。
方法として、アンケート調査を実施し、オープンカフェの仕切りの変化に対して席の選択にどのような傾向がみられるのか調査する。次に実際のオープンスペースに仕切りを設置して、アンケートと同様の傾向がみられるのかを調査する。
3.アンケート調査
本調査は、オープンテラス前の仕切りが変わることで人は選ぶ座席に変化が生じ、どのような傾向が見られるかを調べることを目的とする。ここでの調査方法は、利用人数を設定して、仕切りの異なるオープンカフェの画像を見せ、その画像の店を利用する際、店舗側、街路側の記載がある、座席表からどの座席を利用するかというアンケートを10代から60代の男女180人に実施した。
その結果、仕切りや使用人数による影響がある可能性があることがわかる。仕切りが高いときは街路側の、低いときは店舗側の席の利用率が高いことから、店舗側、街路側の選択は、仕切りの高さによる影響が大きいことが明らかになった。これは歩行者からの視線が影響することが考えられる。また中央の席は人数による影響が大きく、1人や2人場合に比べ、4人の場合に利用率が高いことが明らかになった。
4.実験調査
実験調査では、アンケート調査の結果より仕切りの高さで利用する席の傾向が変わることから、その結果を用いて、実験調査を行っていく。実験調査では実際にオープンスペースを利用して、ビデオ撮影による利用率の調査を行う。つまりオープンテラスを仮定したスペースの前に置く植栽の高さによって座席選択へどの程度影響が与えられているかを数量的に示すことがこの調査の目的である。
調査方法として、奈良県桜井市桜井駅南口の一時駐車場に設置された、休憩スペースの一部に椅子とテーブル5組とソファテーブル1組を設置し、その前方に高い植栽と低い植栽を置いた場合の座席選択の傾向をビデオ撮影により調べた。
その結果、植栽が高いとき、低いときともに店舗側の席が利用されやすく、また植栽が高い時には、中央にある席が、低い時には端の席が利用されにくいことがわかった。このことから仕切りの植栽の高さが変化すると選択される席の傾向が変わることが明らかになった。
実験の結果から仕切りによる視覚の変化で、座席利用の傾向が変わることは確認されたが、植栽が低いときに後列の選択率が増加する等、アンケートの内容とは完全に一致しなかった。
5.おわりに
本研究では、オープンカフェの利用率を見る-見られるの関係に着目して、利用人数および仕切りを変更した席選択のアンケート調査と実験調査をおこなった。
アンケートの結果から仕切りの種類や利用人数で選択の傾向が変わることが明らかになった。この結果を受け、オープンスペースに高さの違う植栽を設置して選択率を調査する実験調査をおこなったが、アンケートとは相違点が見られる結果となった。