10:45 〜 12:15
[HTT16-P02] 商店街におけるペーブメントと印象評価
キーワード:ペーブメント、商店街、色彩、歩行者
1.はじめに
これまで,人々は多様な優れた材料やその使用方法を用いて市民が日常的に往来する歩道を舗装してきた。しかし,現代では歩行性や景観性等が重視された舗装が多種開発されているものの,その豊かさは失われつつある。地域活性化のための景観整備において,自然や歴史,文化,伝統といった地域性,快適性,さらに経済性などのバランスを取り,人が快適に利用できる道をペーブメントを通して考えるにあたって,視覚的・心理的影響を通して,空間とペーブメントが調和関係にあるとはどのような状態かについて明らかにする必要がある。
ペーブメントとは舗装を意味し,街中ではさまざまなペーブメントが用いられているが,その設計基準はない。人々の日常には欠かせないものでありながらそのものを意識することは少なく,日々利用する際にも重要視されにくいものとなっている。
2.研究の目的と方法
本研究では,歩行者にとって快適なペーブメントの形状や色彩とそこから受ける印象について明らかにすることを目的とする。ペーブメントが大きな影響を持つ空間について,評価のための指標を提案する。将来的には,その空間における適したペーブメントの提案を行うことを目標とする。
研究方法は,空間にあった歩きやすいペーブメントについて,大阪市内の商店街を対象にタイル等の基本となる単位の大きさと,空間の色彩による印象についてアンケート調査を行い,これらの関係を分析する。
3.実験1
まず,大阪市旭区の千林商店街と天神橋筋商店街を対象として,基本となる構成要素であるタイルの大きさと印象の変化をSD法と一対比較法により把握した。現状のサイズをもとに1.5倍,2倍に大きさを変え,SD法では8つの形容詞対をもちいて,一対比較法では歩きたいと考えるほうを選択してもらうという方法を用いて実験を行った。
以上の結果,ペーブメントの構成要素であるタイルの大きさは,「審美性(明るい・開放感・綺麗)」「開放性(広い・大きい)」「活動性(賑やか・暖かい)」で説明できることが明らかとなった。ただし,これらは歩きたいと思う心理量とは明確な関係がみられなかった。
4.実験2
次に,歩きたいという心理を抽出するため,5つの商店街を対象として印象に残る色彩を空間の部位ごとに取り出す実験を行った。これら色彩について,マンセル表色系を用いて色相,彩度,明度を算出した。この結果,特に色調が暖色の空間構成要素が与える印象が明らかとなった。
5.まとめ
本研究では,商店街を対象として,ペーブメントの印象とともに関係する空間構成要素を取り出し,空間の印象の記述を試みた。その結果,ペーブメントの色彩と関係した建物,歩行者,サイン等の色彩によって,印象が異なる可能性を見出した。
これまで,人々は多様な優れた材料やその使用方法を用いて市民が日常的に往来する歩道を舗装してきた。しかし,現代では歩行性や景観性等が重視された舗装が多種開発されているものの,その豊かさは失われつつある。地域活性化のための景観整備において,自然や歴史,文化,伝統といった地域性,快適性,さらに経済性などのバランスを取り,人が快適に利用できる道をペーブメントを通して考えるにあたって,視覚的・心理的影響を通して,空間とペーブメントが調和関係にあるとはどのような状態かについて明らかにする必要がある。
ペーブメントとは舗装を意味し,街中ではさまざまなペーブメントが用いられているが,その設計基準はない。人々の日常には欠かせないものでありながらそのものを意識することは少なく,日々利用する際にも重要視されにくいものとなっている。
2.研究の目的と方法
本研究では,歩行者にとって快適なペーブメントの形状や色彩とそこから受ける印象について明らかにすることを目的とする。ペーブメントが大きな影響を持つ空間について,評価のための指標を提案する。将来的には,その空間における適したペーブメントの提案を行うことを目標とする。
研究方法は,空間にあった歩きやすいペーブメントについて,大阪市内の商店街を対象にタイル等の基本となる単位の大きさと,空間の色彩による印象についてアンケート調査を行い,これらの関係を分析する。
3.実験1
まず,大阪市旭区の千林商店街と天神橋筋商店街を対象として,基本となる構成要素であるタイルの大きさと印象の変化をSD法と一対比較法により把握した。現状のサイズをもとに1.5倍,2倍に大きさを変え,SD法では8つの形容詞対をもちいて,一対比較法では歩きたいと考えるほうを選択してもらうという方法を用いて実験を行った。
以上の結果,ペーブメントの構成要素であるタイルの大きさは,「審美性(明るい・開放感・綺麗)」「開放性(広い・大きい)」「活動性(賑やか・暖かい)」で説明できることが明らかとなった。ただし,これらは歩きたいと思う心理量とは明確な関係がみられなかった。
4.実験2
次に,歩きたいという心理を抽出するため,5つの商店街を対象として印象に残る色彩を空間の部位ごとに取り出す実験を行った。これら色彩について,マンセル表色系を用いて色相,彩度,明度を算出した。この結果,特に色調が暖色の空間構成要素が与える印象が明らかとなった。
5.まとめ
本研究では,商店街を対象として,ペーブメントの印象とともに関係する空間構成要素を取り出し,空間の印象の記述を試みた。その結果,ペーブメントの色彩と関係した建物,歩行者,サイン等の色彩によって,印象が異なる可能性を見出した。