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[HTT16-P04] 情報通信技術の活用がもたらす自然風景地の保護と利用についての意識変容
キーワード:自然公園、情報通信技術、サイバーフォレスト
自然公園法のもとで計画され実施される自然風景地の保護と利用は、それらが現地での行為であることを前提としてきた。しかし、インターネットなどの情報通信技術(ICT)やSNSが普及する昨今、自然風景地から離れて生活する都市住民が、インターネットを通じて行ったことのない場所の映像や音を見聞きすることも可能となった。本研究では、都市住民が自然環境の映像と音を身近な自然資源と捉え直すことで、未訪問自然風景地に対する保護と利用についての意識にどのような変容をもたらすかを、定性的に把握することを目的とする。
都市住民である科学や芸術などの各分野の専門家が、自然環境の映像と音を自ら視聴するとともに、次世代の自然風景地の保護と利用をテーマとしたワークショップ的活動を展開し、発表者自身も含めた当該活動の参加者を対象としてアクションリサーチ研究を行った。具体的には、10名の専門家に話題提供を依頼し、その講演内容およびそれに対して行われた質疑応答の内容を次の手順で分析した。まず、講演と質疑応答の文字起こしを行い、これをもとに話題提供者でない2名が別個に要約作業を行ったうえで、この2名による要約案の突合と合議によって要約を確定させた。この要約された内容から、都市住民としての意識変容に関連すると考えられる事項を読み取って整理した。
自然風景地の保護と利用についての意識変容として読み取れた事項は、おおむね次の3点にまとめられた。1点目は、日常生活にはない時間・空間尺度で物事を考える機会が得られるという指摘で、特に録音ではないリアルタイムの森の音を聞くことで森と繋がっている感覚が得られ、普段の生活で森の時間を意識できるという意見が述べられた。2点目は、人間の寿命を超える森林の時間スケールと人間の対応の仕方を次の世代に伝える技術になりうるという指摘で、特に専門家でない一般市民が自然を捉えるにあたってのインタープリテーションの機能を果たすという意見が述べられた。以上の2点は肯定的な趣旨であるが、一方で3点目は否定的な観点から、遠隔で聴く音の場所に関連した体験が少ないと混乱をきたす恐れがあったり、季節に合わない音を聴くと違和感があったりといった指摘もなされた。
都市住民である科学や芸術などの各分野の専門家が、自然環境の映像と音を自ら視聴するとともに、次世代の自然風景地の保護と利用をテーマとしたワークショップ的活動を展開し、発表者自身も含めた当該活動の参加者を対象としてアクションリサーチ研究を行った。具体的には、10名の専門家に話題提供を依頼し、その講演内容およびそれに対して行われた質疑応答の内容を次の手順で分析した。まず、講演と質疑応答の文字起こしを行い、これをもとに話題提供者でない2名が別個に要約作業を行ったうえで、この2名による要約案の突合と合議によって要約を確定させた。この要約された内容から、都市住民としての意識変容に関連すると考えられる事項を読み取って整理した。
自然風景地の保護と利用についての意識変容として読み取れた事項は、おおむね次の3点にまとめられた。1点目は、日常生活にはない時間・空間尺度で物事を考える機会が得られるという指摘で、特に録音ではないリアルタイムの森の音を聞くことで森と繋がっている感覚が得られ、普段の生活で森の時間を意識できるという意見が述べられた。2点目は、人間の寿命を超える森林の時間スケールと人間の対応の仕方を次の世代に伝える技術になりうるという指摘で、特に専門家でない一般市民が自然を捉えるにあたってのインタープリテーションの機能を果たすという意見が述べられた。以上の2点は肯定的な趣旨であるが、一方で3点目は否定的な観点から、遠隔で聴く音の場所に関連した体験が少ないと混乱をきたす恐れがあったり、季節に合わない音を聴くと違和感があったりといった指摘もなされた。