日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] オンラインポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT17] 環境リモートセンシング

2023年5月25日(木) 10:45 〜 12:15 オンラインポスターZoom会場 (13) (オンラインポスター)

コンビーナ:齋藤 尚子(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、入江 仁士(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、島崎 彦人(独立行政法人国立高等専門学校機構 木更津工業高等専門学校)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/24 17:15-18:45)

10:45 〜 12:15

[HTT17-P08] GOSAT/TANSO-FTSデータにもとづく領域・高度別の二酸化炭素の濃度増加量の解析

*浅野 雄斗1齋藤 尚子1 (1.千葉大学 環境リモートセンシング研究センター)

キーワード:GOSAT、二酸化炭素高度分布、濃度増加量

GOSAT(Greenhouse gases Observing SATellite)に搭載のTANSO-FTS(Thermal And Near-infrared Sensor for carbon Observation – Fourier Transform Spectrometer)センサの熱赤外(thermal infrared: TIR)バンドで観測された輝度スペクトルから,二酸化炭素(CO2)濃度の高度分布が導出されている[Saitoh et al., 2016].本研究では,TANSO-FTSのTIRバンドの2010~2012年のCO2濃度の高度分布データを用いて,全球,高度ごと(surface~161.56 hPa)に濃度の増加量を求めた.
TIRバンドのCO2濃度の高度分布データには負のバイアスがあることが報告されている[Saitoh et al., 2016; Saitoh et al., 2017].そのため,CONTRAIL(Comprehensive Observation Network for Trace gases by Airliner)プロジェクトのCME(Comprehensive CO2 Measurement Equipment)のCO2濃度データ[Machida et al., 2008]に基づいて評価されたバイアス補正値を用いてCO2濃度データのバイアス補正を行った上で,Nakazawa et al. [1998]をもとにCO2濃度の増加量を計算した.計算されたバイアス補正後のCO2濃度増加量は,バイアス補正前と比較して全体的に0.1~0.6 ppmv/yrほど高い値となった.
本研究では,どの領域においても,下部・中部対流圏のCO2濃度増加量よりも上部対流圏・下部成層圏の濃度増加量の方が高い傾向が見られた.ヨーロッパ領域を例に挙げると,800 hPa付近の高度では1.56 ppmv/yr,260 hPa付近の高度では1.95 ppmv/yrの増加量であった.CMEデータに基づくCO2濃度のバイアス補正が下部・中部対流圏と上部対流圏・下部成層圏で異なることに起因していると考えられ,下部・中部対流圏の濃度バイアスが十分に補正されていないことが推察される.