日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] オンラインポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT18] 浅部物理探査が目指す新しい展開

2023年5月23日(火) 13:45 〜 15:15 オンラインポスターZoom会場 (2) (オンラインポスター)

コンビーナ:尾西 恭亮(国立研究開発法人土木研究所)、横田 俊之(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)、磯 真一郎(公益財団法人 深田地質研究所)、木佐貫 寛(応用地質株式会社)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/22 17:15-18:45)

13:45 〜 15:15

[HTT18-P05] 深層学習を用いた地中レーダデータの自動解釈結果の品質管理のための解釈支援ツールについて

*磯 真一郎1 (1.公益財団法人 深田地質研究所)

キーワード:地中レーダー、機械学習、解釈、自動化

地中レーダの解析は,一般的に熟練技術者が地中構造物の比誘電率の違いによる反射波の形状を走時断面画像上で視覚的に判読することで行われる.近年,データ取得システム技術の発展により地中レーダデータが大量に取得され,判読の自動化・省力化が進んでいる.さらに,機械学習の一つであるディープラーニングでは,多くの学習モデルアーキテクチャが提案され,物体認識能力が飛躍的に向上している.これらの新しい技術を地中レーダデータでの空洞を含む埋設物の自動判別に適用したシステムの開発と実装が進んでいる,その一部は商業的に実施されるようになった.そのため今後多数の埋設物の自動解釈結果が増加すると考えられる.

一方で,これらの機械学習の解釈結果の根拠を説明する技術は現在まだ発展途上の段階にある.したがって,解釈結果を保証するためには,熟練した技術者による人手による丁寧な品質管理が行われる必要がある.この労力を効率化する品質管理ツールが必要であろう.そこで,レーダの反射振幅異常の空間的な分布が経験豊富な技術者の目視検査に大きな影響を与えることに基づき,埋設物による異常反射を示唆・補助するツールによって解釈支援を行うことを検討した.この解釈支援ツールは,一連の関連する解釈結果をセグメント化し,強度の変化に基づいてピクセルごとの値を統計量にもとづく方法などを採用することで,示唆の根拠を直観的に明らかにする工夫をおこなった.昨年度発表の2次元での対応から3次元での広がりを考慮する検討をおこなっている.

このような解釈支援ツールは,完全に自動化された説明可能な機械学習システムの構築に今後役立つと考えている.