日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI27] Open and FAIR Science: strategies, concepts, infrastructures and opportunities

2023年5月24日(水) 09:00 〜 10:15 101 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:Cecconi Baptiste(LESIA, Observatoire de Paris, CNRS, PSL Research University)、村山 泰啓(情報通信研究機構 NICTナレッジハブ)、近藤 康久(総合地球環境学研究所)、座長:Cecconi Baptiste(LESIA, Observatoire de Paris, CNRS, PSL Research University)、Yasuhiro Murayama(NICT National Institute of Information and Communications Technology)

10:00 〜 10:15

[MGI27-05] オープンでFAIRな学術研究の課題:日本における自然保護区の社会経済効果に関する国際共同研究の経験から

*近藤 康久1、末次 聡子1 (1.総合地球環境学研究所)

キーワード:国際共同研究、学際共同研究、研究データ共有、信頼、文脈依存性

発見可能(Findable)・アクセス可能(Accessible)・相互運用可能(Interoperable)・再利用可能(Reusable)からなるFAIR原則に基づくオープンな学術研究を実践するにあたっては、研究という知識生産の営みの根底にあるマインドセットを変革する必要があることが指摘されている。特に、研究の評価軸や価値観の異なる分野・国の研究者と学際・国際共同研究を円滑に推進するためには、研究文化の違いを意識し、相互の信頼を醸成する必要がある。本稿では、この認識に至った実体験として、ベルモント・フォーラム共同研究活動「自然保護区が社会経済に及ぼす影響の多国融合研究を通じた新たなデータ共有・再利用手法の構築」(PARSEC)におけるブラジルチームとの共同研究における研究データ共有の実際について報告し、その課題点について論じる。この共同研究では、日本の北東北三県(青森、岩手、秋田)において十和田八幡平国立公園と恐山山地森林生態系保護地域の近傍および非近傍の15基礎自治体を抽出し、2000年から2021年にかけての夜間光衛星画像と、GDPなどの社会経済指標の時系列相関分析を行なった。その際、社会経済指標は2011年の東日本大震災のような地域全体の傾向と、自治体ごとの個別の傾向が必ずしも一致せず、文脈依存性が強いため、単純なメタデータの説明だけではデータの意味するところが相手方にうまく伝わらないことなどが明らかになった。