16:00 〜 16:15
[MGI28-03] IODP Expedition 369: オーストラリア南西沖メンテーレ海盆における白亜紀ー古第三紀境界のオスミウム同位体層序と白金族元素組成
キーワード:オスミウム同位体、K-Pg境界、メンテーレ海盆、IODP Exp.369
2017年にInternational Ocean Discovery Program (IODP) Exp. 369が実施され、大オーストラリア湾とオーストラリア南西沖メンテーレ海盆でコアが掘削回収された。Exp.369は南半球高緯度地域における白亜紀と新生代の古気候古海洋変動と、中生代のゴンドワナ大陸分裂に伴う火成活動について解明することを目的としていた。本研究では、IODP Exp. 369 Site U1514のコアサンプルを用いて、白金族元素の濃度とオスミウム同位体比の測定を行い、白亜紀―古第三紀境界(K-Pg境界)の地球化学層序学的検討を行った。白金族元素の異常濃集は天体衝突の重要な証拠であり、またオスミウム同位体比(187Os/188Os)のシャープな低下も隕石衝突を示す指標となっている。このように白金族元素の異常濃集とオスミウム同位体比の低下によってK-Pg境界の天体衝突層準を特定し、世界各地のセクションと対比することができる。このサイトはK-Pg大量絶滅をもたらした隕石の衝突地点であるチチュルブクレーターのほぼ対蹠点に位置し、衝突の影響を比較的受けにくい海域の貴重なデータが得られた。
コア369-U1514C-23Rについて、20cm毎(K-Pg境界前後では10cm毎)の解像度で測定したところ、石灰質ナンノ化石層序で決定されたK-Pg境界とRu, Os, Ir の濃度のピークの層準が一致した。また、187Os/188Os値もその層準において最低値187Os/188Os ~0.2)をとる。白金族元素の濃度ピークとOs同位体比の低下は、他地域のK-Pg境界の地球化学的特徴と一致している。CIコンドライトで規格化した白金族元素の相対存在度はほぼフラットなパターンを示し、地球外物質の寄与が高いことを示す。サイトU1514においてK-Pg境界に天体衝突の痕跡が保存されていることを明らかにできた。また、K-Pg境界より下位の層準でマントル由来物質の寄与の増加を示すオスミウム同位体比の低下が認められた。これは、デカン洪水玄武岩の形成や、南東インド洋付近の火成活動を反映している可能性が高く、オスミウムの供給源についてさらに検討する必要がある。
コア369-U1514C-23Rについて、20cm毎(K-Pg境界前後では10cm毎)の解像度で測定したところ、石灰質ナンノ化石層序で決定されたK-Pg境界とRu, Os, Ir の濃度のピークの層準が一致した。また、187Os/188Os値もその層準において最低値187Os/188Os ~0.2)をとる。白金族元素の濃度ピークとOs同位体比の低下は、他地域のK-Pg境界の地球化学的特徴と一致している。CIコンドライトで規格化した白金族元素の相対存在度はほぼフラットなパターンを示し、地球外物質の寄与が高いことを示す。サイトU1514においてK-Pg境界に天体衝突の痕跡が保存されていることを明らかにできた。また、K-Pg境界より下位の層準でマントル由来物質の寄与の増加を示すオスミウム同位体比の低下が認められた。これは、デカン洪水玄武岩の形成や、南東インド洋付近の火成活動を反映している可能性が高く、オスミウムの供給源についてさらに検討する必要がある。