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[MGI31-09] HpFP:高速データ伝送アプリケーション開発(4)
キーワード:HpFP、HCP、高速データ伝送、プロトコル
近年のネットワーク広帯域化に伴って、10Gbpsさらには100Gpbsを超えるような高速データ伝送プロトコルの必要性が高まっている。筆者らはパケット損失や遅延が生じる長距離広帯域伝送ネットワーク環境においても高い伝送効率を実現するトラスポート層プロトコルHpFP(High-performance and Flexible Protocol)を開発した(http://hpfp.nict.go.jp)。これまでにも様々なTCPをベースとしたプロトコルが開発されているが、ネットワークにおいて一定値以上のパケット損失や遅延が生じる場合に伝送効率が大きく劣化するため、期待するような高速データ伝送が提供できないという課題があった。HpFPは、このような課題を解決するために、TCPではなくUDPをベースに独自プロトコルとして設計した。この制御方式ではACKパケットによってフィードバックされるスループット、パケットロス率および受信バッファ使用率を総合的に評価して、次の送出スループットを決定する。この制御方式を導入するためにHpFPが実装した機能としては、固定間隔でのACK送信、送信可能な最大パケット長探索、帯域予測に基づくパケット送出間隔制御、再送パケットの送信優先制御などがあげられる。HpFPが採用する制御方式では、一時的に生じるパケット損失や遅延に起因するスループット低下に対して、目標値へ速やかに回復するような工夫がなされている。制御量として用いるスループット値は、初期値には目標値の50%を設定する。さらにスループット予測値をもとに、制御量として用いるスループット値をフィードバック制御によって更新する。更新に際しては、直前の測定値よりも高い場合に予測値よりもさらに高いスループット値を設定することで、ネットワーク環境の一時的な劣化によるスループット低下からの回復を速やかする。一方、スループット予測値が直前の測定値よりも低い場合、予測値と過去数回分の測定値から得た加重平均値を制御量とすることで、一時的なネットワーク環境の劣化による影響を少なくするよう工夫している。得られた制御量としてのスループット値から送信可能な最大パケット長の探索結果に基づいてパケット送出間隔を算出することで、スループット変動にも対応するデータ伝送プロトコルとしている。
クレアリンク社ではHpFPをベースとしたデータファイル伝送・同期ツールであるArchaea tools(旧HCP tools)を開発、公開(販売)している。本発表では、京都大学学術情報メディアセンターの富士通スパコンFX700を用いたデータ通信プロトコルHpFPの高速化を試みたので報告する。本実験ではHpFPを多重化して通信速度を計測するツールhperfを用いた。これによりFX700の2ノードを直結して実験を行ったところ、50Gbps程度を達成した。また、仮想的に遅延およびパケットロスを与えて計測を行ったところ、24並列で22Gbpsとなった。これらのボトルネックは、もともとデータ通信高速化での利用を想定していないスーパーコンピュータのNIC(ネットワークカード)やメモリサイズ(バッファサイズ)にあると予想している。
クレアリンク社ではHpFPをベースとしたデータファイル伝送・同期ツールであるArchaea tools(旧HCP tools)を開発、公開(販売)している。本発表では、京都大学学術情報メディアセンターの富士通スパコンFX700を用いたデータ通信プロトコルHpFPの高速化を試みたので報告する。本実験ではHpFPを多重化して通信速度を計測するツールhperfを用いた。これによりFX700の2ノードを直結して実験を行ったところ、50Gbps程度を達成した。また、仮想的に遅延およびパケットロスを与えて計測を行ったところ、24並列で22Gbpsとなった。これらのボトルネックは、もともとデータ通信高速化での利用を想定していないスーパーコンピュータのNIC(ネットワークカード)やメモリサイズ(バッファサイズ)にあると予想している。