日本地球惑星科学連合2023年大会

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[J] オンラインポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI31] 情報地球惑星科学と大量データ処理

2023年5月25日(木) 10:45 〜 12:15 オンラインポスターZoom会場 (26) (オンラインポスター)

コンビーナ:村田 健史(情報通信研究機構)、野々垣 進(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター)、本田 理恵(愛媛大学データサイエンスセンター)、深沢 圭一郎(京都大学学術情報メディアセンター)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/26 17:15-18:45)

10:45 〜 12:15

[MGI31-P06] 商用電源のない場所における映像IoT伝送実験結果

*山崎 亮三1村上 雄樹1村田 健史1菊田 和孝1山本 和憲1 (1.国立研究開発法人情報通信研究機構)

キーワード:映像伝送システム、太陽光発電、ラズベリーパイ

Abstract
 地域の見守りや災害監視などの目的において、商用電源のない場所にカメラを設置したい場合には、ソーラーパネルとバッテリーを用いたシステムが有効であり、その初期実験結果について報告する。

1.はじめに
 NICTでは地域の見守りや災害監視などの目的で各地にIPカメラを設置しているが、火山の噴火監視などでは、通常人が近づくことができず、また商用電源も供給されないため、そのような場所では、ソーラーパネルとバッテリーを用いた映像伝送システムが有効となる。
 本稿では、NICTレジリエントICT研究センター(仙台)屋上に設置した商用電源非使用型の映像伝送システムによる実験結果について報告する。

2.システム構成と実験結果
 図1に本システムの構成を示す。
日中は、ソーラパネルで発電した電力をチャージコントローラーがラズパイやカメラへの給電とバッテリーへの充電に振り分け、夜間はバッテリーから供給される電力のみで動作する。
 また、リレーSWのON/OFFにより夜間にカメラのみ電力供給を止めて節電することもできる。
 図2には、2022/7/25から8/12までの定格出力200Wのソーラーパネルの1分ごとの発電電力と仙台市内における10分ごとの日射量のグラフを示し、図3には、バッテリーからシステムへの供給電力と日中のソーラーパネルからの充電電力を示す。
 図2から日々のソーラー発電の電力の変化は、仙台市内の日射量の変化とほぼ一致し、バッテリーが満充電になったあとは、日没頃までシステムの全消費電力である10W程度の発電が続くことが分かる。同様に図3から、バッテリーへの充電も短時間に数十ワットの電力で行われたあとは、しばらく数ワット程度の充電が続くことが分かる。

今後の検討課題
 図1の構成において年間を通じてのシステムの動作の安定性や悪天候が続いた場合にバッテリーだけで何日くらい持つかなどが今後の検討課題として挙げられる。
 また、ラズパイ3の消費電力は約6~8Wでカメラは間欠動作の場合で約1Wかかるが、実際に現地に設置する場合、ソーラーパネルの大きさが1/4くらいに制限される場合があることを考えると、夜間にカメラへの給電を止めたところであまり節電効果がない。
 一方、図4に示すようにラズパイ3とラズパイ0を組み合わせて使用する場合において、日中は消費電力の高いラズパイ3とカメラを稼働し、夜間は消費電力が1W程度で済むラズパイ0のみをリモートアクセスおよび毎朝のラズパイ3の起動のためだけに使用したとすると1日当たりの全消費電力量を30~40%くらい減らせるもの考えられ、この方法についても今後の検討課題として挙げられる。

まとめ
 商用電源の利用できない場所に災害監視などの目的でIPカメラを設置する方法としてソーラーパネルとバッテリーを用いた映像伝送システムについて初期の実験結果の報告を行った。