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[MIS02-05] 過去146万年のインド植生に影響を与えたモンスーンの季節性
キーワード:サバンナ、火災、モンスーン
モンスーンとは、大陸と海洋の間で季節的に反転する風のことで、降水量に季節的なサイクルをもたらし、サバンナのような特徴的な景観をもたらす。サバンナの形成には山火事が不可欠であり、土壌への炭素固定にも関係している。本論文では、ベンガル湾のサイトU1446の堆積物中の燃焼性多環芳香族炭化水素(PAHs)、五環式トリテルペンメチルエーテル(PTMEs)、長鎖n-アルカン(LCNA)の分析から、東インドのサバンナ植生における森林火災とイネ科植物の豊度の146万年の記録を報告する。LNCAで規格化したPAHsとPTMEsの濃度はミランコビッチサイクルを示し、インド夏季モンスーン降水量(Clemens et al., 2021)が高いときに高くなった。これは、雨季には高い降水量で草の成長を支え、乾季には乾いた植物の蓄積で大きな火災を引き起こすためと考えられる。このことは、モンスーンの季節性の変化が季節的な草のバイオマス量と火災活動を調節していることを示唆している。一方、長鎖脂肪酸δ13Cの記録は、C3/C4植生比が降水量よりも大気中のCO2濃度を反映してきたことを示している(Yamamoto et al., 2022)。これらのことから、C4植生の拡大は、CO2に応答し,草原の拡大とは独立したものであったことが示唆される。