10:45 〜 12:15
[MIS09-P03] 耳石ストロンチウム安定同位体を用いた琵琶湖のフナ属による母田回帰行動の解明
キーワード:ストロンチウム同位体、魚類耳石、産卵回遊、河川水
琵琶湖固有種であるニゴロブナは、日本全土に広く生息するギンブナから進化したと考えられている。琵琶湖水系において、ギンブナは流入河川や琵琶湖の浅い沿岸を自由回遊する。一方で、ニゴロブナは水田や内湖で孵化した後、琵琶湖沖合に進出して索餌回遊を行う。
また、ニゴロブナの産卵に際しては、ピンポイントに自身の出生水域を目指して帰巣する個体が確認されており、我々はこのような産卵回遊を「母田回帰」と呼んでいる。(論文未発表)これらの個体は、出生水域に特異的な水中の化学物質組成を嗅覚記憶していると考えられる。(論文未発表)
この研究は、ギンブナとニゴロブナの生態の違い、およびニゴロブナの母田回帰率を確かめるために、各個体の回遊履歴を推定することを目的とした。そして、推定手法としてストロンチウム同位体を利用した。
河川水中の87Sr/86Sr比は、流域の地質年代をよく反映していることが知られている。
一方で、魚類の耳石は体内に取り込まれた元素の一部を蓄積し続けるという性質を持ち、成長に伴って過去の情報が失われることがない。また、成長の進行と停滞を反映した年輪構造が形成されるという特徴も持つ。
従って、耳石(礫石)のストロンチウム同位体比を計測して河川水や湖水の同位体比と比較することで、個体が移動してきた水域を時系列的に追跡できる。
今回の研究では、4〜6月の複数日にかけて、水路6地点でフナ個体および水試料の採取を行った。フナ個体はニゴロブナ成魚・ギンブナ成魚・出生直後のニゴロブナ稚魚の3種類に分けられる。稚魚の礫石はそのまま試料とした。成魚の礫石は中心核断面を露出させた薄切片へと加工し、更に年輪構造に沿ってドリリングすることで、複数の時系列毎に粉末試料とした。
稚魚耳石と河川水のストロンチウム同位体比を比較した結果、バラつきが大きいものの、概ね近似する傾向が見られた。また、ニゴロブナ成魚では仔稚魚期の同位体比と河川水が合致する個体が確認でき、高解像度な母田回帰を示唆している。
現時点では両方のフナ成魚について十分なデータ数を確保できていないため、具体的な結論は差し控える。
また、ニゴロブナの産卵に際しては、ピンポイントに自身の出生水域を目指して帰巣する個体が確認されており、我々はこのような産卵回遊を「母田回帰」と呼んでいる。(論文未発表)これらの個体は、出生水域に特異的な水中の化学物質組成を嗅覚記憶していると考えられる。(論文未発表)
この研究は、ギンブナとニゴロブナの生態の違い、およびニゴロブナの母田回帰率を確かめるために、各個体の回遊履歴を推定することを目的とした。そして、推定手法としてストロンチウム同位体を利用した。
河川水中の87Sr/86Sr比は、流域の地質年代をよく反映していることが知られている。
一方で、魚類の耳石は体内に取り込まれた元素の一部を蓄積し続けるという性質を持ち、成長に伴って過去の情報が失われることがない。また、成長の進行と停滞を反映した年輪構造が形成されるという特徴も持つ。
従って、耳石(礫石)のストロンチウム同位体比を計測して河川水や湖水の同位体比と比較することで、個体が移動してきた水域を時系列的に追跡できる。
今回の研究では、4〜6月の複数日にかけて、水路6地点でフナ個体および水試料の採取を行った。フナ個体はニゴロブナ成魚・ギンブナ成魚・出生直後のニゴロブナ稚魚の3種類に分けられる。稚魚の礫石はそのまま試料とした。成魚の礫石は中心核断面を露出させた薄切片へと加工し、更に年輪構造に沿ってドリリングすることで、複数の時系列毎に粉末試料とした。
稚魚耳石と河川水のストロンチウム同位体比を比較した結果、バラつきが大きいものの、概ね近似する傾向が見られた。また、ニゴロブナ成魚では仔稚魚期の同位体比と河川水が合致する個体が確認でき、高解像度な母田回帰を示唆している。
現時点では両方のフナ成魚について十分なデータ数を確保できていないため、具体的な結論は差し控える。