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[MIS12-P05] 産業用ミリ波レーダーと光学式粒径別計数装置を用いた海面砕波観測システムの開発
キーワード:白波砕波、光学式粒子数計、ミリ波レーダー
台風通過時の海面では強風によって波浪が発達し無数の白波砕波が発生する。その1つ1つの波の峰が強風に引きちぎられて大量のシースプレーが海上数10mの高さに浮遊したのちに海面に落下する。白波砕波によって大気境界層には大粒径飛沫と小粒径飛沫が同時に生成される。白波砕波とそれに連動する大気海洋境界層の微物理過程のメカニズムを解明するために、従来の観測研究では、海面の状態の把握には可視光CCDカメラ、海上の気流や粒子の計測には超音波風速計や光学式粒径別計数装置などを使用してきた。本研究では、超音波風速計と光学式粒径別計数装置の同時運転による粒子フラックスの見積もりを目指すとともに、自動車部品用のミリ波(30-300GHz、波長1-10mm)レーダー電子回路ボードを用いて海上の白波砕波の時空間構造を測定するシステムを開発している。これは荒天時や日夜連続した観測に適用することが目的である。ミリ波レーダーは、波長が短いので数cm四方の小型なアンテナで送受信でき、そのハードウェア開発は国際的に大きな変革を遂げようとしている。米国Texas Instruments社のワンチップ集積回路は電波の送受信回路からアナログ-デジタル変換、信号処理用のマイコンまで、イメージングに必要な構成要素がワンチップ上に収められ、電子的に電波の発射方向を切り替えられるフェーズド・アレイ方式も備えている。これに基づいて本研究では1秒間隔で測定できるシステムを構築し、海上観測の試験を行っている。