16:30 〜 16:45
[MIS15-20] 高知県浦ノ内湾における人新世の重金属推移と古環境
キーワード:人新世、重金属、有機物、古環境、内湾
産業革命以降、人間が地球環境に負荷を与えてきた記録が残されており、新たに「人新世(Anthropocene)」と呼ばれる地質年代が提唱されている(Crutzen and Stoermer,2000)。東京湾、伊勢湾、大阪湾など工業地帯周辺の内湾での堆積物の解析例はあるが、工業地帯の影響がない、地方の内湾での堆積物の解析例は少ない。本発表では、高知県中央部に位置する浦ノ内湾の海底堆積物に記録された人新世の環境変動について検証することを目的とした。浦ノ内湾の湾奥(水深9.7m)で海底表層コアを潜水士によって直接採取された。X-CT、MSCLなどの非破壊分析を行い、半割後、digital image, XRF core scanner (ITRAX)を用いて元素組成分析を行った。さらに、1cm間隔で深さ方向に切りわけ、凍結真空乾燥を行い、粉末状にして、有機物分析、年代測定を行った。
内湾の堆積物はシルト質泥であり、堆積構造の乱れは無い。ITRAXと放射性年代から、重金属元素(Cu, Zn, Ni, Cd, Cr)が、湾奥では1964年から増加し、現在、約2倍近く増加していた。1955年付近から全炭素有機物量(TOC)が増加しており、貝や魚類の養殖がはじまった時期と一致していた。また、有機物の炭素・窒素同位体比も大きく変化しており、有機物の質の変化、脱窒や人糞や肥料などの流入の影響が考えられる。Mn濃度は、湾奥で1977年頃から減少し始め、この頃から湾奥の海底環境が還元的になったと考えられる。
内湾の堆積物はシルト質泥であり、堆積構造の乱れは無い。ITRAXと放射性年代から、重金属元素(Cu, Zn, Ni, Cd, Cr)が、湾奥では1964年から増加し、現在、約2倍近く増加していた。1955年付近から全炭素有機物量(TOC)が増加しており、貝や魚類の養殖がはじまった時期と一致していた。また、有機物の炭素・窒素同位体比も大きく変化しており、有機物の質の変化、脱窒や人糞や肥料などの流入の影響が考えられる。Mn濃度は、湾奥で1977年頃から減少し始め、この頃から湾奥の海底環境が還元的になったと考えられる。