日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS15] 古気候・古海洋変動

2023年5月24日(水) 09:00 〜 10:30 国際会議室 (IC) (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:岡崎 裕典(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、長谷川 精(高知大学理工学部)、山崎 敦子(名古屋大学大学院環境学研究科)、小長谷 貴志(東京大学大気海洋研究所)、座長:岡崎 裕典(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)

09:45 〜 10:08

[MIS15-23] 中赤外レーザー分光技術を用いたCO2同位体種の超高感度分析とその古気候学への展望

★招待講演

*坂井 三郎1 (1.国立研究開発法人海洋研究開発機構)

キーワード:中赤外レーザー分光、CO2同位体分子種、超高感度分析

二酸化炭素の安定同位体比は地球惑星システムの理解,特に古気候・古海洋の研究に大きく貢献してきた。二酸化炭素の従来型測定方法は軽元素質量分析計 (IRMS) である。しかし,高精度のIRMSでさえ,炭酸塩や有機物の超微量分析や微量同位体種の分析に関する近年の要求に応えられていない。本研究では,ナノモル以下の二酸化炭素から同位体分子種を測定する”可搬型”の中赤外線レーザー吸収分光計 (TILDAS)と”電子冷却機構 (液体窒素不要)”を備えた自動前処理システムを使った新しい方法を報告する。この方法は0.3ナノモル(炭酸塩0.03µg・炭素量3.8ng)の二酸化炭素で0.1‰以下の誤差で18O/16O・13C/12Cを測定でき、現在用いられているIRMAより感度が1桁高い。それ故に,このTILDASシステムは、二酸化炭素の実用的かつ超感度分析、そして17Oや多重置換同位体分子種などの微量同位体分子種の計測に道を拓いた。発表ではレーザー分光技術の最近の進展とその古気候学への展望を紹介する。