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[MIS15-P17] 南極湖沼における海水準変動に伴う水塊構造の変化
★招待講演
キーワード:湖底堆積物、海水準変動、南極
将来の温暖化による南極氷床の融解が危惧されている現在、多様な時間スケールをもつ南極氷床変動を評価し、その変動メカニズムを理解することが重要である。南極氷床は複数の時間スケールの変動が重畳しており、特に数百年以上の変動を評価するには古環境学的アプローチが必要である。そのアプローチ法としてモデルシミュレーションによる研究や岩石や堆積物試料を対象とした研究が用いられる。その中でも南極の湖沼堆積物は海水準や氷床変動の復元に有用な試料である。湖沼の過去の環境変動の大きな要因として、海水準変動に伴う海水の流入が挙げられる。この海水準変動に伴う環境変化は湖沼内で空間的に違いがあると考えられ、その空間的違いの定量的な評価が高精度の古環境復元につながると期待される。東南極リュッツォ・ホルム湾ラングホブデに位置するぬるめ池は海跡湖であり、成層構造を成しており底層の塩分は50近くにもなる。第61次南極地域観測隊では、4本の湖沼堆積物柱状試料が異なる深度で採取され、一本は最も深い16 m、他のコアは5-8 mの浅い深度で採取された。本研究ではこれらのコアを用い、ぬるめ池において海水準変動に伴い水塊構造がどのように変化するか、を復元することを目的とした。堆積層解析、XRFコアスキャナー分析や珪藻分析により堆積環境の変化を復元し、放射性炭素年代測定により年代モデルを構築した。その結果、完新世における海水準変動に伴う周囲の地形変化により湖沼内の水塊構造が変化したことが示された。この結果は湖沼堆積物試料による高精度の古環境復元について新たな知見を提供できると期待される。