14:30 〜 14:45
[MIS16-04] 北海道東部の浜堤列平野で発見された巨大津波による侵食痕跡
キーワード:津波、侵食、千島海溝
津波による海岸侵食の痕跡を検出するため,地形・地質の調査を北海道浜中町の浜堤列平野において行った.まず,地形の特徴を詳細に把握するため,無人航空機を使用した写真測量を行った.その結果,現在の海岸線から約300m内陸に位置する浜堤において,長軸が海岸線と直行する池沼・湿地が点在することが明らかになった.次に,地下の堆積構造を推定するために池沼を横断・縦断する方向で地中レーダー探査ところ,浜堤の砂層を示すGPR反射面が池沼の地下において切断されていることがわかった.さらに,GPR反射面が示す堆積物を確認するため,ジオスライサーによって柱状堆積物試料を採取した.試料を肉眼と医療用CTで観察したところ,浜堤の砂層が侵食され,その上に砂層と泥炭層が堆積していることが確認できた.侵食痕の上で認められた砂層は,中礫~大礫サイズの泥炭の塊を含むイベント層と考えられた.本研究で確認された池沼は,その地形的特徴,GPR反射面が示す堆積構造,地下で見られた堆積物を総合的に判断し,津波や暴浪によって形成されたscour pondと推定された.Scour pondの形成年代は,堆積物中の放射性炭素年代によって推定した.ジオスライサーによって採取された試料から大型植物化石を拾い出し,放射性炭素年代測定を行ったところ,掘削を行ったscour pondは13-14世紀頃に形成されたものだと考えられた.