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[MIS18-P05] 日本海における深海性ヨコエビ(フトヒゲソコエビ類)の捕獲、飼育および生物影響実験の試み
キーワード:深海ヨコエビ、表層型メタンハイドレート、日本海、生物影響試験
日本海の深海底はメタンハイドレートが賦存しており、資源量の評価および開発技術や開発にかかわる環境影響評価の検討のため、実海域における海洋環境調査が行われている。調査では、棲息する生物の遺伝子解析が行われ、生物多様性、連結性などの評価が検討されている。ヨコエビもその対象生物であり、深海底上において、数日間のベイトトラップ設置により、個体群の捕獲が可能である。
深海性のヨコエビは、有機物の細分化、転換、高次捕食者への受け渡しなど、海洋物質循環において重要な役割があると考えられる。また、日本海の深海においては、ベニズワイガニ等有用甲殻類の餌料となっている可能性があるとともに、食性の観点から摂食競合関係にもなると考えられ、水産資源との関わりにおいても重要な生物と考えられる。よって、ヨコエビを対象とした環境影響評価実験は重要項目の一つとなる。
本研究では、日本海の水深約1,000mの海底からヨコエビ個体群を生存状態で捕獲し、飼育および生物影響実験を試みた。捕獲には、現地の海水を保持できるベイトトラップを製作して用い、捕獲個体は、大気に曝さず直ちに水温1-2℃の海水に収容したところ、ほぼすべてが活発に遊泳していた。ヨコエビは、調査船から研究施設まで冷蔵宅配便で輸送して飼育を試みた。輸送したヨコエビは、形態観察及び遺伝子解析の結果、Pseudorchomene sp.と同定された。飼育は、複数容器で行い、冷蔵庫の設定温度を0℃として体長約10㎜の個体を選び、総数44個体から開始した。マアジを餌とし約20日間隔で給餌した。生残個体数は、飼育開始から1年目で5個体、467日目で1個体であり、総脱皮数は78であった。脱皮間隔は約90日で、個体数の減耗は、脱皮不全の個体あるいは脱皮直後の個体が捕食されるためと考えられた。
生物影響実験は、水温、低塩分、硫化水素について試みた。水温は、収容水温が10℃以下では生存し続け、15℃では48時間以内、20℃では直ちに死亡することが確認された。塩分と硫化水素の96時間半数致死濃度(96h-LC50)を見積ったところ、塩分は18.9 PSU(95%信頼限界19.6-18.1 PSU)となった。硫化水素の96h-LC50は、有用甲殻類の報告値および本研究の一環として行った沿岸性のヨコエビ(Melita sp.)に比べて高い値となった。
本研究は経済産業省のメタンハイドレート研究開発事業の一部として実施した。
深海性のヨコエビは、有機物の細分化、転換、高次捕食者への受け渡しなど、海洋物質循環において重要な役割があると考えられる。また、日本海の深海においては、ベニズワイガニ等有用甲殻類の餌料となっている可能性があるとともに、食性の観点から摂食競合関係にもなると考えられ、水産資源との関わりにおいても重要な生物と考えられる。よって、ヨコエビを対象とした環境影響評価実験は重要項目の一つとなる。
本研究では、日本海の水深約1,000mの海底からヨコエビ個体群を生存状態で捕獲し、飼育および生物影響実験を試みた。捕獲には、現地の海水を保持できるベイトトラップを製作して用い、捕獲個体は、大気に曝さず直ちに水温1-2℃の海水に収容したところ、ほぼすべてが活発に遊泳していた。ヨコエビは、調査船から研究施設まで冷蔵宅配便で輸送して飼育を試みた。輸送したヨコエビは、形態観察及び遺伝子解析の結果、Pseudorchomene sp.と同定された。飼育は、複数容器で行い、冷蔵庫の設定温度を0℃として体長約10㎜の個体を選び、総数44個体から開始した。マアジを餌とし約20日間隔で給餌した。生残個体数は、飼育開始から1年目で5個体、467日目で1個体であり、総脱皮数は78であった。脱皮間隔は約90日で、個体数の減耗は、脱皮不全の個体あるいは脱皮直後の個体が捕食されるためと考えられた。
生物影響実験は、水温、低塩分、硫化水素について試みた。水温は、収容水温が10℃以下では生存し続け、15℃では48時間以内、20℃では直ちに死亡することが確認された。塩分と硫化水素の96時間半数致死濃度(96h-LC50)を見積ったところ、塩分は18.9 PSU(95%信頼限界19.6-18.1 PSU)となった。硫化水素の96h-LC50は、有用甲殻類の報告値および本研究の一環として行った沿岸性のヨコエビ(Melita sp.)に比べて高い値となった。
本研究は経済産業省のメタンハイドレート研究開発事業の一部として実施した。