09:00 〜 09:15
[MIS21-01] 赤色立体地図と干渉色段彩でみる惑星火山
★招待講演
キーワード:月、火星、干渉色、赤色立体地図、火山
1.はじめに
惑星や衛星の火山を研究し、地球上の火山と比較することは、火山の理解にとって重要である。しかしながら、惑星の火山は現地調査が困難であり、地形の検討が特に重要となる。今回、火星や月を対象に、赤色立体地図と干渉色段彩を重ねた可視化を試みた。惑星火山地形検討にとって、有効な新手法であると考えられるので、いくつかの事例を報告したい。
2.赤色立体地図
赤色立体地図1)2)は、航空レーザー計測による詳細かつ膨大な地形データの可視化に最適化された手法である。傾斜が急なところほどより彩度を高く(赤く)、尾根や独立峰ほどより明るく、谷や窪地ほどより暗くなるように調整した画像である。1枚だけで錯覚による立体感が感じとれる手法であるが、赤色立体地図には、傾斜方位や絶対標高が読み取れないという欠点があった。そのため、赤色立体地図に、高度段彩や等高線を重ねることで、問題解決を図ってきた。たとえば、千葉は国土地理院と共同で、赤色立体地図と高度段彩を重ねる手法で、月の地形表現をおこなった3)4)。しかしながら、高度差が極めて大きい、火星などの地形表現としては、同じ手法は適用しにくいものだった。
3.干渉色
高度段彩は地形表現としては一般的で、様々なカラーテーブルが提案されている。なかでもレインボウカラーは使用されることが多い。しかし、惑星などの大地形を表現するには、レインボウ―カラーでは階調が不足することがあった。その場合、レインボウカラーの繰り返し(In-SARの干渉縞としてよく用いられる)を、地形表現法として使用することが考えられるが、標高判定には縞の本数を数える手間があった。今回使用した干渉色カラーテーブルは、色から標高を直読することが可能で、地形の理解にとって有効な手段の一つと考えられる。
干渉色は、シャボン玉や油膜における薄膜の干渉や、偏光顕微鏡のクロスニコルで観察できる色として知られ、1次-2次-3次と微妙に虹色が変化する。山田と千葉は共同でこの色を計算によって厳密に求めることに成功し、地図アート研究所で地形表現法として1次から3次までの繰り返しテーブルとして公開している5)。今回この計算結果を基に、7次の干渉色までのカラーテーブルを作成し、地形表現に適用した。そもそも干渉色は物理量として、薄膜の厚さに比例する色であり、地形の高度と比例させることには、一定の意味がある。干渉色カラーテーブルは、同じ色が繰り返さないので、離れた地点の標高を比較することが可能で、隠された大地形認定に有効である。
4.事例
発表では、月や火星などの惑星の火山やクレーターの地形表現に、赤色立体地図や干渉色段彩を適用した事例を報告する。付図に画像を示す。
引用文献
1)千葉達朗・鈴木雄介(2004)赤色立体地図-新しい地形表現手法ー,応用測量論文集,15,81-89.
2)千葉達朗・鈴木雄介・平松孝普(2006)地形表現手法の諸問題と赤色立体地図,地図,50,25-36.
3)千葉達朗・神谷泉・高桑紀之・佐藤壮紀(2013)月の地形表現手法としての赤色立体地図,JPGU予稿集,M-TT41,P04.
4)国土地理院(2013)月の地形図:http://gisstar.gsi.go.jp/selene/
5)地図アート研究所:https://ymd5022002.github.io/map-art-jp/
惑星や衛星の火山を研究し、地球上の火山と比較することは、火山の理解にとって重要である。しかしながら、惑星の火山は現地調査が困難であり、地形の検討が特に重要となる。今回、火星や月を対象に、赤色立体地図と干渉色段彩を重ねた可視化を試みた。惑星火山地形検討にとって、有効な新手法であると考えられるので、いくつかの事例を報告したい。
2.赤色立体地図
赤色立体地図1)2)は、航空レーザー計測による詳細かつ膨大な地形データの可視化に最適化された手法である。傾斜が急なところほどより彩度を高く(赤く)、尾根や独立峰ほどより明るく、谷や窪地ほどより暗くなるように調整した画像である。1枚だけで錯覚による立体感が感じとれる手法であるが、赤色立体地図には、傾斜方位や絶対標高が読み取れないという欠点があった。そのため、赤色立体地図に、高度段彩や等高線を重ねることで、問題解決を図ってきた。たとえば、千葉は国土地理院と共同で、赤色立体地図と高度段彩を重ねる手法で、月の地形表現をおこなった3)4)。しかしながら、高度差が極めて大きい、火星などの地形表現としては、同じ手法は適用しにくいものだった。
3.干渉色
高度段彩は地形表現としては一般的で、様々なカラーテーブルが提案されている。なかでもレインボウカラーは使用されることが多い。しかし、惑星などの大地形を表現するには、レインボウ―カラーでは階調が不足することがあった。その場合、レインボウカラーの繰り返し(In-SARの干渉縞としてよく用いられる)を、地形表現法として使用することが考えられるが、標高判定には縞の本数を数える手間があった。今回使用した干渉色カラーテーブルは、色から標高を直読することが可能で、地形の理解にとって有効な手段の一つと考えられる。
干渉色は、シャボン玉や油膜における薄膜の干渉や、偏光顕微鏡のクロスニコルで観察できる色として知られ、1次-2次-3次と微妙に虹色が変化する。山田と千葉は共同でこの色を計算によって厳密に求めることに成功し、地図アート研究所で地形表現法として1次から3次までの繰り返しテーブルとして公開している5)。今回この計算結果を基に、7次の干渉色までのカラーテーブルを作成し、地形表現に適用した。そもそも干渉色は物理量として、薄膜の厚さに比例する色であり、地形の高度と比例させることには、一定の意味がある。干渉色カラーテーブルは、同じ色が繰り返さないので、離れた地点の標高を比較することが可能で、隠された大地形認定に有効である。
4.事例
発表では、月や火星などの惑星の火山やクレーターの地形表現に、赤色立体地図や干渉色段彩を適用した事例を報告する。付図に画像を示す。
引用文献
1)千葉達朗・鈴木雄介(2004)赤色立体地図-新しい地形表現手法ー,応用測量論文集,15,81-89.
2)千葉達朗・鈴木雄介・平松孝普(2006)地形表現手法の諸問題と赤色立体地図,地図,50,25-36.
3)千葉達朗・神谷泉・高桑紀之・佐藤壮紀(2013)月の地形表現手法としての赤色立体地図,JPGU予稿集,M-TT41,P04.
4)国土地理院(2013)月の地形図:http://gisstar.gsi.go.jp/selene/
5)地図アート研究所:https://ymd5022002.github.io/map-art-jp/