日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS21] 惑星火山学

2023年5月23日(火) 09:00 〜 10:15 展示場特設会場 (3) (幕張メッセ国際展示場)

コンビーナ:野口 里奈(新潟大学 自然科学系)、諸田 智克(東京大学理学系研究科地球惑星科学専攻)、下司 信夫(産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門)、座長:野口 里奈(新潟大学 自然科学系)、諸田 智克(東京大学理学系研究科地球惑星科学専攻)、下司 信夫(産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門)

09:45 〜 10:00

[MIS21-04] 視覚情報からの野外地質構造判断プロセス解析:画像情報によるリモートセンシング地質調査への応用

*下司 信夫1野口 里奈2白尾 元理庄司 大悟3藤本 圭一郎3池谷 広大4春山 純一3 (1.産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門、2.新潟大学 理学部、3.宇宙航空研究開発機構、4.東海大学)

キーワード:地質調査、露頭、画像解析

地上における野外露頭調査は,まず露頭を肉眼で観察してその全体構造や構成物を判断し,その後に各種計測や試料採取を行い,それらの情報を総合してその露頭の理解とそれを通した各種地球科学的な解釈を行う.そのため,露頭のさまざまな視覚的情報の取得とその解析は野外調査における最も基本的なプロセスであり,また野外地質調査において取得される情報の大半を占めているといっても過言ではない.さまざまな地質ユニットはその構成物の構造や物性などにより特有の「みかけ」を呈する.地質調査者はそれらの特徴を読み取り,露頭のみかけからまず構成物を推測し,その後露頭に接しての観察によってその推測を補強するプロセスをたどる.しかし、このプロセスはしばしば意識せずに行われているため、野外地質調査の初学者への教育や、露頭の自動識別プロセスの構築における困難の要因となっている.本研究では,地質調査者が露頭のどのような見かけ上の特徴,すなわち光学画像的な特徴にもとづいて露出する地質構造物を識別しているのかを解析し,対象とする地質体の代表的な岩相についてその共通の特徴を抽出する.ここでは,陸上苦鉄質火山地域におけるいくつかの露頭を例に地層ユニットの構成物・ユニット境界の同定プロセスを追跡した結果を紹介する.本研究では,伊豆大島および三宅島において,降下火砕物と溶岩,火砕流堆積物および二次堆積物が共存するいくつかの露頭の画像の観察プロセスを追跡した.そして,その結果に基づき,降下火砕物(降下スコリア層・降下火山灰層),溶岩流(緻密な中心部とクリンカー部),火砕流堆積物(非溶結),二次堆積物(風成層)の見掛け上の特徴を抽出し,類似した岩相間の識別ポイントを階層化することにより,露頭の見かけからそれを構成する地質ユニットを識別してゆくフローを試作した.このような光学画像情報からの地層同定プロセスを明らかにし,それを自動解析に実装することができれば,大量の光学画像から広大な範囲の地質構造を均質な基準で解析することが可能となるだろう.