日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS23] 火山学と気象学の融合

2023年5月23日(火) 09:00 〜 10:15 301B (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:佐藤 英一(気象研究所)、常松 佳恵(山形大学)、座長:佐藤 英一(気象研究所)、常松 佳恵(山形大学)

09:15 〜 09:30

[MIS23-02] 現地調査と気象データからみた霧島火山新燃岳2018年5月14日噴出物の空間・粒度分布の特徴

*宮縁 育夫1佐藤 英一2 (1.熊本大学くまもと水循環・減災研究教育センター、2.気象研究所)

キーワード:テフラ分布、粒度分布、噴出物量、気象条件、霧島火山

霧島火山新燃岳で2018年5月14日に発生した噴火は,14時44分に開始し,16時10分まで継続したとされている.この噴火はブルカノ式噴火によって開始し,その噴煙は最高で火口縁上4,500 m程度まで上昇した.その後,活動は灰噴火へと移行して噴煙高度も低下した.筆者らは噴火発生直後に現地調査を実施するとともに採取試料の粒度分析を行った.また,噴火当時の映像記録や気象データを解析して,噴出物の空間および粒度分布との関係を検討した.2018年5月14日噴火に伴う火山灰は新燃岳から南東方向に分布し,噴出物量は約2万トンと概算されたが,分布主軸の東側と西側とでは噴出物の産状に違いが認められた.主軸より東側に分布する堆積物は,粗砂~中砂を主体とし,全体的に粗粒で淘汰のよい火山灰で,細砂やシルトといった細粒成分をほとんど含まないものであった.一方,主軸よりも西側の堆積物は,細粒成分が多い,やや淘汰の悪い火山灰であった.当時,新燃岳上空付近の風向きは高度によって異なっており,噴煙高度の高いブルカノ式噴火に伴う粗粒な火山灰は,やや西寄りの風に影響を受けて主軸よりも東側に飛散したが,高度の低い灰噴火の噴煙はやや北寄りの風によって主軸よりも西側に流されて細粒火山灰が堆積したものと考えられる.