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[MZZ39-P04] 地質学者にして仏教者、石川成章の「科学と仏教」に関する著作
キーワード:石川成章、科学と仏教、地学教育、20世紀初頭、科学の大衆化
愛知県生まれの地質学者で浄土真宗大谷派の仏教者であった石川成章(1872-1945)は、1899年東京帝国大学地質学科を卒業した後、旧制中学校や高等師範学校、早稲田大学、京都帝国大学で教鞭をとりながら、九州をはじめとする各地の地質調査に携わった。石川には地学教科書を含む多くの著作があるが、そのほとんどは今日では忘れられてしまっている。本報告では、石川の『自然科学と仏教』(1907)に着目し、その内容の分析から、20世紀初頭の「科学と宗教」にかんする議論のなかに位置づけるとともに、地学啓蒙や科学の大衆化との関係を考察する。地質学者の望月勝海(1905-1963)が東京帝大の学生であったときに、石川のエッセイ集『自然科学と宗教』(1921)を読んで「欽慕の念」を抱いていたことが日記の記述から分かっており(1926年12月29日付)、研究者の人格形成という観点からも興味をひく。