15:45 〜 16:00
[MZZ40-02] 音響的手法を用いた風力発電における音エネルギーの損失と周波数特性の評価
キーワード:風力、音、周波数
昨今の環境問題や資源枯渇性から再生可能エネルギーの導入が推進されている。その中でも風力発電は、経済性の高さ、陸上・洋上の両方で発電可能であるというポテンシャルの高さから、国産エネルギー源として注目されているが、騒音、設備点検、エネルギー変換ロスなど課題は多い。風力発電において、従来騒音として研究対象となることの多い「音」を本研究では貴重な情報源と捉え、音によるエネルギー損失量の評価や、音の周波数特性の時間変化から異常検知システムへの応用可能性を検証することを目的とする。
本研究では、福岡県北九州市の響灘風力発電所に設置された風車タービン5・6号機(GE製1.5MW)を対象とした。騒音計、リニアPCMレコーダー、風速計、温度計、気圧計を用い、音圧レベル、音圧波形、風速、温度、気圧のデータを取得した。周波数解析では、高速フーリエ変換FFTとFFTで取得した周波数帯信号の時間変化を取得するためのウェーブレット解析を実施した。さらに、抽出した音圧値、高度補正を行った風速・気圧・温度の値からエネルギー量を算出し、風速エネルギー推定値と比較した。
ウェーブレット解析より、地上の変圧器を音源とする240Hz付近の音、500〜1500Hzのブレードからの空力音、1500Hz付近のナセル内部起源の機械音などを確認できた。これらはRamachandran et al. (2014)が同型タービンで検知した周波数帯と一致しており、本研究では各周波数帯の発生源と発生音の時間変化を捉えることができた。また音エネルギーは、変動が大きいがエネルギーロスとしては18.4W以下になり、風力エネルギーに対し0.008%以下であった。さらに、対象設備機器ごとに発生音から音特性の把握ができ、タービン6号機では1500Hz帯周辺の音に起因するエネルギー損失が特異的に大きいことが示唆された。
以上より、風力発電で騒音として問題になりうる音は、エネルギー損失の観点から見るとほぼ無視できる程度であることが明らかになった。さらに、本手法によって風力発電から発生する各周波数帯の音の時間変化を記録でき、同規格の風力タービンであってもタービンおよび測定条件等によって異なる周波数特性が現れることが確認された。今後、気象条件・立地条件を考慮した上で、本手法を多くの連続測定データに対して用いることで、運転中の風力タービンの特徴・異変をリアルタイムで検知できることが示唆された。本研究は、風力発電のエネルギー損失や設備故障の検知だけでなく、気象・環境条件の風力発電への影響の理解促進にも資するであろう。
本研究では、福岡県北九州市の響灘風力発電所に設置された風車タービン5・6号機(GE製1.5MW)を対象とした。騒音計、リニアPCMレコーダー、風速計、温度計、気圧計を用い、音圧レベル、音圧波形、風速、温度、気圧のデータを取得した。周波数解析では、高速フーリエ変換FFTとFFTで取得した周波数帯信号の時間変化を取得するためのウェーブレット解析を実施した。さらに、抽出した音圧値、高度補正を行った風速・気圧・温度の値からエネルギー量を算出し、風速エネルギー推定値と比較した。
ウェーブレット解析より、地上の変圧器を音源とする240Hz付近の音、500〜1500Hzのブレードからの空力音、1500Hz付近のナセル内部起源の機械音などを確認できた。これらはRamachandran et al. (2014)が同型タービンで検知した周波数帯と一致しており、本研究では各周波数帯の発生源と発生音の時間変化を捉えることができた。また音エネルギーは、変動が大きいがエネルギーロスとしては18.4W以下になり、風力エネルギーに対し0.008%以下であった。さらに、対象設備機器ごとに発生音から音特性の把握ができ、タービン6号機では1500Hz帯周辺の音に起因するエネルギー損失が特異的に大きいことが示唆された。
以上より、風力発電で騒音として問題になりうる音は、エネルギー損失の観点から見るとほぼ無視できる程度であることが明らかになった。さらに、本手法によって風力発電から発生する各周波数帯の音の時間変化を記録でき、同規格の風力タービンであってもタービンおよび測定条件等によって異なる周波数特性が現れることが確認された。今後、気象条件・立地条件を考慮した上で、本手法を多くの連続測定データに対して用いることで、運転中の風力タービンの特徴・異変をリアルタイムで検知できることが示唆された。本研究は、風力発電のエネルギー損失や設備故障の検知だけでなく、気象・環境条件の風力発電への影響の理解促進にも資するであろう。