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[MZZ44-03] コバルトリッチクラストが分布する海山における流況の観測とシミュレーション
キーワード:流動モデル、数値シミュレーション、潮流、潮汐残差流
海山では、地形や潮汐、成層などの影響を受けた複雑な流況が形成される。流況の特性を明らかにすることは、コバルトリッチクラスト開発における環境影響評価のために重要である。本研究では、コバルトリッチクラストが分布する北西太平洋の平頂海山を対象に流況の観測およびシミュレーションを行った。観測は、海山の平頂部、斜面部および基部で1年間実施した。シミュレーションモデルの構築には3次元流動数値モデルDelft3Dを用いた。観測より、平頂部(流速のスカラー平均10.2 cm/s)は斜面部(7.2 cm/s)や基部(6.8 cm/s)よりも流速が大きく、流向に偏りがない傾向が確認された。平頂部の流況には、半日周期の潮流が支配的な影響を及ぼしていた。シミュレーションは、観測された潮流を精度良く再現できていた。シミュレーションより、平頂部の全域で潮流が強くなっており、その強化は海底上およそ400 mまで達していることが示された。また、平頂部の中央では下降流、縁付近では上昇流となる垂直循環流(平均<0.06 cm/s)の存在が示唆された。これらの知見は、海山の環境を理解し、掘削等によって生じ得る堆積物プルームの動態を推定するための基礎となるだろう。