日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-ZZ その他

[M-ZZ44] 海底マンガン鉱床の生成環境と探査・開発

2023年5月25日(木) 13:45 〜 15:00 301A (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:臼井 朗(高知大学海洋コア総合研究センター)、鈴木 勝彦(国立研究開発法人海洋研究開発機構・海底資源センター)、高橋 嘉夫(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、伊藤 孝(茨城大学教育学部)、座長:臼井 朗(高知大学海洋コア総合研究センター)、伊藤 孝(茨城大学教育学部)、鈴木 勝彦(国立研究開発法人海洋研究開発機構・海底資源センター)、高橋 嘉夫(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)

14:15 〜 14:30

[MZZ44-03] コバルトリッチクラストが分布する海山における流況の観測とシミュレーション

*齋藤 直輝1、長尾 正之1鈴木 淳1 (1.国立研究開発法人産業技術総合研究所)

キーワード:流動モデル、数値シミュレーション、潮流、潮汐残差流

海山では、地形や潮汐、成層などの影響を受けた複雑な流況が形成される。流況の特性を明らかにすることは、コバルトリッチクラスト開発における環境影響評価のために重要である。本研究では、コバルトリッチクラストが分布する北西太平洋の平頂海山を対象に流況の観測およびシミュレーションを行った。観測は、海山の平頂部、斜面部および基部で1年間実施した。シミュレーションモデルの構築には3次元流動数値モデルDelft3Dを用いた。観測より、平頂部(流速のスカラー平均10.2 cm/s)は斜面部(7.2 cm/s)や基部(6.8 cm/s)よりも流速が大きく、流向に偏りがない傾向が確認された。平頂部の流況には、半日周期の潮流が支配的な影響を及ぼしていた。シミュレーションは、観測された潮流を精度良く再現できていた。シミュレーションより、平頂部の全域で潮流が強くなっており、その強化は海底上およそ400 mまで達していることが示された。また、平頂部の中央では下降流、縁付近では上昇流となる垂直循環流(平均<0.06 cm/s)の存在が示唆された。これらの知見は、海山の環境を理解し、掘削等によって生じ得る堆積物プルームの動態を推定するための基礎となるだろう。