14:30 〜 14:45
[MZZ44-04] 北西太平洋コバルトリッチクラスト賦存域周辺に生息する深海性端脚類を用いた海山間での多様性評価と遺伝的連結性の把握
キーワード:コバルトリッチクラスト、深海性端脚類、生物多様性評価、連結性解析
深海域での生物多様性評価は、深海生態系の形成・維持の解明、そして将来的な深海の海洋鉱物資源開発に向けた参照区域等の設定において重要な課題である。深海域の海山に賦存しているコバルトリッチクラスト周辺においても、海山間での生物多様性の違いや連結性を評価することが求められている。深海性端脚類は、生態的にも形態的にも多様化が進んでいる分類群であり、個体数も多いことから、深海域での生物多様性を評価する上で注目されている。しかし分類が進んでおらず、隠蔽種が多く含まれることも想定されることから、その多様性及び連結性評価は進んでいないのが現状である。
本研究では、北西太平洋のコバルトリッチクラストが賦存する海山間での多様性及び連結性評価を行うために、各海山にベイトトラップを設置し、693個体の端脚類サンプルを採取した。これらのサンプルからDNAを抽出し、Cytochrome oxidase I (COI) 遺伝子領域の部分塩基配列を決定し、分子レベルでの操作的分類単位(MOTUs)を抽出することで推定種を定め、海山間・水深間での群集の多様性及び類似度比較を行った。また、比較的多くの個体数が確保できたMOTUに関しては、MIG-seqによる一塩基多型解析を実施し、海山間での遺伝的連結性の推定を行った。
解析の結果、深海性端脚類の群集は、海山の平頂部と基部の間で大きく異なること、複数海山間で群集が類似するパターンが確認された。また、地理的距離が離れた海山間でも、端脚類の遺伝的連結性が広く維持されている可能性が高いことが分かった。比較的分散能力が低いと考えられている端脚類において、今回調べた範囲内では複数海山間で群集が類似していることと、高い連結性が維持されているのは、深海性端脚類が海山間で加入を頻繁に行っている可能性を示している。今回の深海性端脚類で得られた知見は、今後の海山における環境ベースライン研究及び環境影響評価を実施する上での科学的情報として活用されることが期待される。
本研究では、北西太平洋のコバルトリッチクラストが賦存する海山間での多様性及び連結性評価を行うために、各海山にベイトトラップを設置し、693個体の端脚類サンプルを採取した。これらのサンプルからDNAを抽出し、Cytochrome oxidase I (COI) 遺伝子領域の部分塩基配列を決定し、分子レベルでの操作的分類単位(MOTUs)を抽出することで推定種を定め、海山間・水深間での群集の多様性及び類似度比較を行った。また、比較的多くの個体数が確保できたMOTUに関しては、MIG-seqによる一塩基多型解析を実施し、海山間での遺伝的連結性の推定を行った。
解析の結果、深海性端脚類の群集は、海山の平頂部と基部の間で大きく異なること、複数海山間で群集が類似するパターンが確認された。また、地理的距離が離れた海山間でも、端脚類の遺伝的連結性が広く維持されている可能性が高いことが分かった。比較的分散能力が低いと考えられている端脚類において、今回調べた範囲内では複数海山間で群集が類似していることと、高い連結性が維持されているのは、深海性端脚類が海山間で加入を頻繁に行っている可能性を示している。今回の深海性端脚類で得られた知見は、今後の海山における環境ベースライン研究及び環境影響評価を実施する上での科学的情報として活用されることが期待される。