日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-05] ジオパークとサステナビリティ(口頭招待講演)

2023年5月21日(日) 09:00 〜 10:30 展示場特設会場 (3) (幕張メッセ国際展示場)

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、榊山 匠(四国西予ジオパーク推進協議会)、殿谷 梓(三好市役所ジオパーク推進室)、福村 成哉(南紀熊野ジオパーク推進協議会)、座長:郡山 鈴夏(フォッサマグナミュージアム)、榊山 匠(四国西予ジオパーク推進協議会)、殿谷 梓(三好市役所ジオパーク推進室)、佐野 恭平(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、山崎 由貴子

09:30 〜 10:00

[O05-02] 地質標本の収集・販売を減らすための情報発信WGからの報告
~世界で起こっている良くないことを知る~

★招待講演

*加賀谷 にれ1、加藤 聡美2、ラーレゼン デボナ2、小林 猛生3、小河原 孝彦3、ブラウン セオドア3、小林 辰美4、松原 典孝4、松村 愉文5、原田 拓也6、肥沼 隆弘7、貞包 健良8、木下 明子8、福村 成哉9、芝崎 浩子10、小原 北士11、ウィルソン ジョアナ11、毛利 篤史12、吉瀬 毅13、和田 明香13、柴 ひかり13、佐藤 充 (1.洞爺湖有珠山ジオパーク推進協議会、2.様似町アポイ岳ジオパーク推進協議会、3.糸魚川ジオパーク協議会、4.山陰海岸ジオパーク推進協議会、5.白滝ジオパーク推進協議会、6.栗駒山麓ジオパーク推進協議会、7.秩父まるごとジオパーク推進協議会、8.佐渡ジオパーク推進協議会、9.南紀熊野ジオパーク推進協議会、10.南紀熊野ジオパークガイドの会、11.Mine秋吉台ジオパーク推進協議会、12.おおいた豊後大野ジオパーク推進協議会、13.桜島・錦江湾ジオパーク推進協議会)

キーワード:ジオパーク、持続可能性、地質物品、非持続的な取引

現在のユネスコ世界ジオパークのガイドラインには「管理運営団体は圏域内において化石・鉱物・磨かれた岩石・いわゆる「石の店」で通常見られるタイプの装飾用の石等の地質学的なものの売買に直接関わってはならず、(いかなる産地のものであろうとも)地質学的な物質の持続可能でない取引全般を積極的に防ぐべき」と記載されている。また、最も古いガイドライン(2004)を見ても「地質物品の販売禁止に関する記載として鉱物や化石を販売しないという倫理的判断をしなければならない」と書かれていることから、ジオパークはその草創期から地質物品の非持続的な販売にNOという立場を表明していたことがわかる。

現在流通している地質物品には、国際社会の持続可能性に脅威を及ぼすさまざまな問題が付きまとう。各国の政府から許可を受けない多くの鉱山や採石場では、破壊的な鉱物や化石の採取に加えて、深刻な環境問題(生態系、生活環境への負荷)、労働問題(危険な労働環境、作業員や家族への健康被害)、さらには人権や紛争にかかわる問題が発生している。私たちは、こういった非持続的問題のある採掘場から産出された地質物品を販売(購入)することで、これらの問題の助長に、たとえ無自覚であったとしても関与することになってしまう。

ジオパークの活動を通じて持続可能な社会を創りだそうとしている私たちは、地質物品に地域も間接的に関わる世界的な問題があることをまず認識し、どのような行動をとるべきかよく考える必要がある。これは私たちがジオパークのガイドラインの趣旨をより深く理解するために必要な作業でもある。