13:45 〜 15:15
[O06-P03] 自動温度記録計と簡易希釈法による指宿火山群における火山ガス観測
キーワード:火山ガス、指宿火山群
(概要)火山防災のためには,火山の地球物理的観測と共に火山ガス観測が重要である。噴火予知に挑むための第一歩として,我々は自動温度記録計と簡易希釈法による火山ガス測定法を工夫した。その実証と平穏期のデータ蓄積のために,指宿火山群において測定を始めた。得られたデータを基に,火山や噴火履歴,ガス濃度の比等で比較して,本測定法を評価する。
(方法)昨年から、指宿火山群にある「湯峰権現噴気帯」「スメ谷噴気帯」「鰻池スメ広場噴気帯」の3地点で、噴気温度と火山ガス濃度の測定を実施している。
(噴気温度の記録方法)これまでは調査日のみ熱電対温度計で測定したが、今回は10分間隔の自動測定に取り組んだ。噴気地帯では電源の確保が難しいため、乾電池で動作する市販の温度記録計を噴気測定用に改造して使用する。
(火山ガスの調査方法)火山ガスは一般的にアルカリ水溶液に吸収させて化学的に分析しますが、この方法では多くの化学操作と時間が必要です。そこで市販のガスセンサーを活用した。しかし、市販センサーは高温で水蒸気が主成分である火山ガスを直接測定できない。そこで、シリンジで採取した火山ガスを凝縮し空気で希釈して測定する方法を採用した。
その希釈のための容器として、ガスセンサーを入れた密閉ポリエチレン袋を利用した。
測定成分は、岩崎らの経験則に基づき、CO2、SO2、H2Sとし、さらに検知管でCOの存在を確認した。
測定手順は次の通りである。
①噴気孔周辺のガス濃度を市販ガスセンサーで測定し、安全を確認する。
②シリンジを用いてセンサーの入った密閉ポリエチレン袋(ジップロック)を真空にし、希釈した空気1500 mLを入れる。
③噴気孔から火山ガス200mLを遠隔採取し、湿った布で冷やしてシリンジ内の水蒸気を凝縮させる。
④シリンジから密閉ポリエチレン袋に採取ガスを移し、容器内のガスが均一になるまで待ち、センサーに表示される値を記録する。
⑤袋内の希釈された空気の希釈率から実際の値を求める。
⑥容器内のガスを検知管で100mL採取し、濃度を測定する。
実際の火山ガスの濃度は、希釈比の逆数をかけることで求める。空気中にガスが含まれている場合は、希釈比を補正する。
(結果および考察)上のグラフは6月12日から10月29日までの4ヶ月間の10分ごとの気温の変化を自動温度記録計で測ったもので、縦軸が気温、横軸が経過時間である。下のグラフは、比較のために指宿の気温と降水量のアメダスデータを表す。この時期、指宿火山群の噴気温度は100℃近くあり、気温や雨量が噴気温度に大きな影響を与えないことがわかる。しかし、火山ガス噴出量が少ないときや雨量が多いときは、噴気孔が外気の影響を受けることがあり、土砂や水が噴気孔に入ると大きな温度低下が観測された。
マグマからのガスであるCO2、SO2、地下水からのガスであるH2S、さらにそれらの組成比のグラフを掲載した。これらの組成比の値が大きくなれば、火山活動の活発化が考えられる。
3月から4月にかけてはスメ谷でCO2/H2Sが、7月から8月にかけては湯峰でSO2/H2Sが増加した。
この増加には地下のマグマの活動や地下水量の変化が関与していると考えられるため、今後、データを増やし地震などとの関係を調査していきたい。
また、本年度は,昨年はガスセンサーで測定できなかった二酸化硫黄の濃度を、気象庁や沢田が採用している硫化水素と二酸化硫黄の検知管を直列に接続する方法で測定することができた。
これは、スメ谷と鰻池のガスセンサー測定では高濃度のCOが検出されるが、ガス検知管測定では何度計測しても0ppmになり,CH4かH2による誤動作を疑ったが,これらのガス成分を検知管で測定しようとしたが、いずれも検出限界以下であり、阻害ガスを特定することはできなかった。
(今後の予定)
今後は、ガスセンサーの改良、COセンサーに反応するガスの調査、火山ガス測定方法の改良・工夫、長期観測による将来の火山防災のための基礎データの蓄積を行いたい。
(方法)昨年から、指宿火山群にある「湯峰権現噴気帯」「スメ谷噴気帯」「鰻池スメ広場噴気帯」の3地点で、噴気温度と火山ガス濃度の測定を実施している。
(噴気温度の記録方法)これまでは調査日のみ熱電対温度計で測定したが、今回は10分間隔の自動測定に取り組んだ。噴気地帯では電源の確保が難しいため、乾電池で動作する市販の温度記録計を噴気測定用に改造して使用する。
(火山ガスの調査方法)火山ガスは一般的にアルカリ水溶液に吸収させて化学的に分析しますが、この方法では多くの化学操作と時間が必要です。そこで市販のガスセンサーを活用した。しかし、市販センサーは高温で水蒸気が主成分である火山ガスを直接測定できない。そこで、シリンジで採取した火山ガスを凝縮し空気で希釈して測定する方法を採用した。
その希釈のための容器として、ガスセンサーを入れた密閉ポリエチレン袋を利用した。
測定成分は、岩崎らの経験則に基づき、CO2、SO2、H2Sとし、さらに検知管でCOの存在を確認した。
測定手順は次の通りである。
①噴気孔周辺のガス濃度を市販ガスセンサーで測定し、安全を確認する。
②シリンジを用いてセンサーの入った密閉ポリエチレン袋(ジップロック)を真空にし、希釈した空気1500 mLを入れる。
③噴気孔から火山ガス200mLを遠隔採取し、湿った布で冷やしてシリンジ内の水蒸気を凝縮させる。
④シリンジから密閉ポリエチレン袋に採取ガスを移し、容器内のガスが均一になるまで待ち、センサーに表示される値を記録する。
⑤袋内の希釈された空気の希釈率から実際の値を求める。
⑥容器内のガスを検知管で100mL採取し、濃度を測定する。
実際の火山ガスの濃度は、希釈比の逆数をかけることで求める。空気中にガスが含まれている場合は、希釈比を補正する。
(結果および考察)上のグラフは6月12日から10月29日までの4ヶ月間の10分ごとの気温の変化を自動温度記録計で測ったもので、縦軸が気温、横軸が経過時間である。下のグラフは、比較のために指宿の気温と降水量のアメダスデータを表す。この時期、指宿火山群の噴気温度は100℃近くあり、気温や雨量が噴気温度に大きな影響を与えないことがわかる。しかし、火山ガス噴出量が少ないときや雨量が多いときは、噴気孔が外気の影響を受けることがあり、土砂や水が噴気孔に入ると大きな温度低下が観測された。
マグマからのガスであるCO2、SO2、地下水からのガスであるH2S、さらにそれらの組成比のグラフを掲載した。これらの組成比の値が大きくなれば、火山活動の活発化が考えられる。
3月から4月にかけてはスメ谷でCO2/H2Sが、7月から8月にかけては湯峰でSO2/H2Sが増加した。
この増加には地下のマグマの活動や地下水量の変化が関与していると考えられるため、今後、データを増やし地震などとの関係を調査していきたい。
また、本年度は,昨年はガスセンサーで測定できなかった二酸化硫黄の濃度を、気象庁や沢田が採用している硫化水素と二酸化硫黄の検知管を直列に接続する方法で測定することができた。
これは、スメ谷と鰻池のガスセンサー測定では高濃度のCOが検出されるが、ガス検知管測定では何度計測しても0ppmになり,CH4かH2による誤動作を疑ったが,これらのガス成分を検知管で測定しようとしたが、いずれも検出限界以下であり、阻害ガスを特定することはできなかった。
(今後の予定)
今後は、ガスセンサーの改良、COセンサーに反応するガスの調査、火山ガス測定方法の改良・工夫、長期観測による将来の火山防災のための基礎データの蓄積を行いたい。