13:45 〜 15:15
[O06-P07] 遠州灘の漂着軽石を探る-福徳岡ノ場の軽石との比較-
キーワード:漂着軽石、福徳岡ノ場、遠州灘
小笠原諸島にある福徳岡ノ場火山では,2021年8月13日から15日にかけて大量の軽石を噴出する大規模な噴火が発生した.その後軽石は沖縄など各地に漂着をしたことが分かっているが,愛知県伊良子岬から静岡県御前崎までの遠州灘の海岸への漂着については不明である.そこで,本研究では遠州灘の漂着軽石の漂着時期,起源,特徴について解明し,最終的には漂着軽石の漂流・漂着のプロセスを明らかにすることを目的とした.
方法は,まず2021年12月,2022年3月,5月に遠州灘で軽石を採取した.次に遠州灘で採取した軽石と福徳岡ノ場軽石である沖縄の軽石について,化学分析を行い福徳岡ノ場軽石の化学組成(Yoshida et al,2022)と比較した.ここで福徳岡ノ場起源でないことが分かった軽石については鉱物分析を行い,起源の特定を試みた.さらに遠州灘と沖縄の軽石の形状,粒径,円磨度,種類,密度について比較をした.
この結果,2021年12月と2022年3月の調査では白色多孔質の軽石のみがみられたが,5月には白色多孔質と灰色の軽石の両方がみられた.また遠州灘の漂着軽石のうち灰色軽石は化学組成が福徳岡ノ場軽石のものと一致した.一方で白色多孔質軽石は福徳岡ノ場軽石とは異なった化学組成を示し,鉱物分析の結果,カワゴ平パミス,神津島天上山テフラ,新島向山テフラ,大隅降下軽石と一致するものがあることが分かった.さらに遠州灘の灰色軽石は,沖縄の軽石に比べて形状の分散や粒径が小さく,円磨度が大きい一方,白色多孔質軽石は形状,粒径,円磨度にばらつきがあった.また,福徳岡ノ場軽石を分類すると種類の割合には沖縄と遠州灘の灰色軽石で違いがほとんどなく,密度は沖縄の福徳岡ノ場軽石よりも遠州灘の灰色軽石のほうが大きいことが判明した.
以上より,2022年3月から5月に漂着した遠州灘の灰色軽石は福徳岡ノ場軽石であり,浸食作用を受けていると考えられる.また2021年12月以前に遠州灘に漂着していた白色多孔質軽石はカワゴ平パミス,神津島天上山テフラ,新島向山テフラ,大隅降下軽石の可能性が高く,長期間にわたり風化・浸食作用を受けていたと考えられる.
今後は,本研究で断定できなかった白色多孔質軽石の起源を特定し,漂着軽石の漂流・漂着プロセスを明らかにする.
方法は,まず2021年12月,2022年3月,5月に遠州灘で軽石を採取した.次に遠州灘で採取した軽石と福徳岡ノ場軽石である沖縄の軽石について,化学分析を行い福徳岡ノ場軽石の化学組成(Yoshida et al,2022)と比較した.ここで福徳岡ノ場起源でないことが分かった軽石については鉱物分析を行い,起源の特定を試みた.さらに遠州灘と沖縄の軽石の形状,粒径,円磨度,種類,密度について比較をした.
この結果,2021年12月と2022年3月の調査では白色多孔質の軽石のみがみられたが,5月には白色多孔質と灰色の軽石の両方がみられた.また遠州灘の漂着軽石のうち灰色軽石は化学組成が福徳岡ノ場軽石のものと一致した.一方で白色多孔質軽石は福徳岡ノ場軽石とは異なった化学組成を示し,鉱物分析の結果,カワゴ平パミス,神津島天上山テフラ,新島向山テフラ,大隅降下軽石と一致するものがあることが分かった.さらに遠州灘の灰色軽石は,沖縄の軽石に比べて形状の分散や粒径が小さく,円磨度が大きい一方,白色多孔質軽石は形状,粒径,円磨度にばらつきがあった.また,福徳岡ノ場軽石を分類すると種類の割合には沖縄と遠州灘の灰色軽石で違いがほとんどなく,密度は沖縄の福徳岡ノ場軽石よりも遠州灘の灰色軽石のほうが大きいことが判明した.
以上より,2022年3月から5月に漂着した遠州灘の灰色軽石は福徳岡ノ場軽石であり,浸食作用を受けていると考えられる.また2021年12月以前に遠州灘に漂着していた白色多孔質軽石はカワゴ平パミス,神津島天上山テフラ,新島向山テフラ,大隅降下軽石の可能性が高く,長期間にわたり風化・浸食作用を受けていたと考えられる.
今後は,本研究で断定できなかった白色多孔質軽石の起源を特定し,漂着軽石の漂流・漂着プロセスを明らかにする.