日本地球惑星科学連合2023年大会

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[O-06] 高校生ポスター発表

2023年5月21日(日) 13:45 〜 15:15 現地ポスター会場 (幕張メッセ展示ホール8)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球環境科学専攻 地質・地球生物学講座 岩石鉱物学研究室)、久利 美和(気象庁)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/21 13:45-15:15)

13:45 〜 15:15

[O06-P57] ウィルソン効果による太陽黒点の深度考察

*荻巣 桃依1、大久保 有華1、棚橋 聖悠1、奥村 実季1、井川 瞳1 (1. 愛知県立一宮高等学校)

キーワード:太陽、太陽黒点、ウィルソン効果


要旨
太陽黒点の大きさと深さには正の相関があるという仮説のもと、国立天文台のデータを利用して、黒点の大きさとウィルソン効果により求めた黒点の深度を考察した。しかし、予想された相関はなく、28個の黒点から深度は約530±380kmであるという結果を得た。

1.はじめに
ウィルソン効果とは、黒点が太陽周辺部に近づく際に、太陽黒点の暗部が凹んで見える現象のことである。(図1)

2.測定方法
国立天文台のデータベース(Gバンド)を利用して、画像処理ソフトマカリ上で各黒点の距離等を計測した後、以下の式を用いてExcel上で黒点の深度を算出した。
測定する黒点は同心円であると仮定し、式を立てた。
θA+θD=θB+θC
ここから黒点の深度を求めることが可能である。

3.測定結果と考察
(1)仮説
太陽黒点が大きいほどウィルソン効果は強く表れる、つまり深度が大きくなる
(2)結果
図2のグラフは
縦軸:ウィルソン効果から算出した黒点の深度
横軸:半暗部の大きさ
とした散布図である。(単位はともにピクセルとkmを併記)                  
グラフからは、明確な相関が得られなかったので、太陽中心からの距離ごとに太陽黒点を下記の3つに分類し、近似直線を引いた。ウィルソン効果はC>B>Aの順に強く表れる。
A:近距離  ●(赤) 点線
B:中距離  ▲(青) 一点鎖線
C:遠距離  ■(緑) 実線
すると、Cにおいて負の相関を得た。そこで図1における θB が30度以下(中心から中遠距離と定義する)の黒点に絞り込むと、元は86個であったデータ数が28個にしぼりこまれた。故に精度の低いデータとなった。図3のように相関はなく、黒点の深度は約530±380km であることが得られた。

(3)考察
当初、図2より小さい黒点ほど深度が大きい、つまり小さい黒点ほど磁気圧が集中し、より深くなったのではないかと考えた。しかし、測定の際に
引用している画像が粗い …I
データ量が少ない    …II
という疑問点があり、黒点の大きさと深度の相関の有無は言い切れない。

4.今後の展望
I について、海外の天文台や、他のサイトから画像を選出し、なるべく解像度の高いものを用いるようにする。
II をふまえて、黒点のデータ量を増やした上で、ウィルソン効果の現れている黒点のみで解析する。

5.参考文献、使用ソフト
理科年表2022
国立天文台    https://solarwww.mtk.nao.ac.jp/jp/solarobs.html  (2022.9.7~2023.1.11閲覧)
国立米子工業高等専門学校 「小望遠鏡を用いた太陽黒点のウィルソン効果の検出」
https://www.yonago-k.ac.jp/tosho/tosho/research_rep/47/pdf/01_Wilson_effect.pdf (2022.9.7閲覧)
すばる画像処理ソフト マカリ      Excel2019