13:45 〜 15:15
[O06-P71] ラドンで地質を探る〜断層との関係性〜
キーワード:地質、ラドン、放射線、千屋断層、横手川
背景
京都府の川で行われた研究(石田ら、2003)ではラドン濃度と地下水の関係が調べられた。断層と川が交差する地点でラドン濃度が上昇するという事例が見られた。しかし、この研究では断層が地下水湧出に起因する可能性を示唆しているだけだった。これまで、断層がラドン濃度上昇の直接の原因であるかの研究は行われておらず、ラドンと断層の関係は明確には分かっていない。そこで本研究の目的を断層前後でのラドンの系列の特徴や含有量の変化などの関係を明らかにすることとした。
実験装置
今回の実験ではラドン検出器を用いた。シリコンで作られた検出器が設置された缶に対して検出器側をマイナス極になるように電圧を加えることで、ラドン崩壊時に生じたポロニウムイオンを回収することができ、このポロニウムのアルファ崩壊を測定することで間接的に石が含んでいる放射線核種の種類を観測することになる。検出器からの信号は増幅・整形後Arduinoによって波高を取得する。(今回は早稲田大学の田中香津生准教授に依頼して、計測を行った。)
石の採取場所と計測結果
1896年にマグニチュード7.2の大地震(千屋地震)が起きたことによって発生した千屋断層の一部である横手盆地東縁断層帯と交差している川(横手川)の地点を地点Bとして、そこから519m上流を地点A、100m下流を地点Cとした。石の大きさや重さはA,B,Cですべてばらばらであった。計測時間はA,B,Cすべてだいたい同じにした。
結果
figureA,B,Cから、測定した石A,B,C全部が240ch,280ch,310ch,380ch(測定した検出器のADC値)のところがピークであるとわかったが、Bのカウント数が少なく断層のBとA,Cの違いをはっきりとは認識できなかった。2回目の実験はできたが、1回目の実験では、ラドン検出器の故障によりデータの校正(グラフの横軸のADC値を一般的な崩壊するときのエネルギー値MeVに変えること)が進まなかった。
ピークのカウント数からA〜Cの240chのカウント数を1として比にまとめると次のようになる(table1を参照)。AとCの比が310ch以外でほとんど同じことが読み取れる。Bはカウント数が少なかったことから比がまばらになってしまったことが予測される。
考察
地点A、Cで同じADC値にピークが見られたこととカウント数の比がその2地点で近かったことから、地点A、Cで採取した石のトリウム系列によるラドンとウラン系列によるラドンの構成比が近い、つまり石に含まれる放射線物質が地点A、Cの石では同じだと考えられる。一方、地点Bでは石の質量や計測時間を考慮してもカウント数が全体的に少なかった。ADC値のピークは地点A、Cのものと同じところに見られるが、ピーク値以外の値は他より多めになっており、トリウム系列、ウラン系列による構成比が異なっているため断層が出たのではないかと考えられる。先行研究との相違が見られるため、更なるデータの蓄積と検証が必要である。
展望
地点Bの計測においてグラフのピークの位置が明確に判断できるまでデータを増やすことで、地点Bのカウント数がすべてのADC値において全体的に低かった理由を探りたい。
三地点の距離が断層のスケールと比べて小さいため、より広範囲で石を採取し測定をし直したい。また、石の種類・重量・体積・計測時間等様々な条件を揃えてより正確な比較ができるようなデータを計測をしたいと考えたため、現在は地点Bからより離れた地点で採取した石を用いて二回目の計測を続けている。どの物質の放射性崩壊が多いかを調べ、その結果と考察を発表したいと考えている。
京都府の川で行われた研究(石田ら、2003)ではラドン濃度と地下水の関係が調べられた。断層と川が交差する地点でラドン濃度が上昇するという事例が見られた。しかし、この研究では断層が地下水湧出に起因する可能性を示唆しているだけだった。これまで、断層がラドン濃度上昇の直接の原因であるかの研究は行われておらず、ラドンと断層の関係は明確には分かっていない。そこで本研究の目的を断層前後でのラドンの系列の特徴や含有量の変化などの関係を明らかにすることとした。
実験装置
今回の実験ではラドン検出器を用いた。シリコンで作られた検出器が設置された缶に対して検出器側をマイナス極になるように電圧を加えることで、ラドン崩壊時に生じたポロニウムイオンを回収することができ、このポロニウムのアルファ崩壊を測定することで間接的に石が含んでいる放射線核種の種類を観測することになる。検出器からの信号は増幅・整形後Arduinoによって波高を取得する。(今回は早稲田大学の田中香津生准教授に依頼して、計測を行った。)
石の採取場所と計測結果
1896年にマグニチュード7.2の大地震(千屋地震)が起きたことによって発生した千屋断層の一部である横手盆地東縁断層帯と交差している川(横手川)の地点を地点Bとして、そこから519m上流を地点A、100m下流を地点Cとした。石の大きさや重さはA,B,Cですべてばらばらであった。計測時間はA,B,Cすべてだいたい同じにした。
結果
figureA,B,Cから、測定した石A,B,C全部が240ch,280ch,310ch,380ch(測定した検出器のADC値)のところがピークであるとわかったが、Bのカウント数が少なく断層のBとA,Cの違いをはっきりとは認識できなかった。2回目の実験はできたが、1回目の実験では、ラドン検出器の故障によりデータの校正(グラフの横軸のADC値を一般的な崩壊するときのエネルギー値MeVに変えること)が進まなかった。
ピークのカウント数からA〜Cの240chのカウント数を1として比にまとめると次のようになる(table1を参照)。AとCの比が310ch以外でほとんど同じことが読み取れる。Bはカウント数が少なかったことから比がまばらになってしまったことが予測される。
考察
地点A、Cで同じADC値にピークが見られたこととカウント数の比がその2地点で近かったことから、地点A、Cで採取した石のトリウム系列によるラドンとウラン系列によるラドンの構成比が近い、つまり石に含まれる放射線物質が地点A、Cの石では同じだと考えられる。一方、地点Bでは石の質量や計測時間を考慮してもカウント数が全体的に少なかった。ADC値のピークは地点A、Cのものと同じところに見られるが、ピーク値以外の値は他より多めになっており、トリウム系列、ウラン系列による構成比が異なっているため断層が出たのではないかと考えられる。先行研究との相違が見られるため、更なるデータの蓄積と検証が必要である。
展望
地点Bの計測においてグラフのピークの位置が明確に判断できるまでデータを増やすことで、地点Bのカウント数がすべてのADC値において全体的に低かった理由を探りたい。
三地点の距離が断層のスケールと比べて小さいため、より広範囲で石を採取し測定をし直したい。また、石の種類・重量・体積・計測時間等様々な条件を揃えてより正確な比較ができるようなデータを計測をしたいと考えたため、現在は地点Bからより離れた地点で採取した石を用いて二回目の計測を続けている。どの物質の放射性崩壊が多いかを調べ、その結果と考察を発表したいと考えている。