13:45 〜 15:15
[O06-P86] 海水の電気分解による海洋性エアロゾル生成とCCN能力評価による雲生成への有効性
キーワード:海洋
地球の歴史を遡ってみると、地球環境は絶えず変化してきたものであると考えることができる。そのために地球上の生物は、その姿や生態を環境に適応させて生き残ってきた。しかし、時によっては地球環境が急激に変化することによって種そのものが絶滅してしまうこともある。例えば、約1万年前の氷河期では気候変動に適応できなかった沢山の種が絶滅した。そして、昨今問題となっている地球温暖化もまた例外ではない。特に大きな問題となっているのは平均気温の上昇である。この傾向は工業化の進んだここ1,2世紀のうちに大きくなっているものだが、人類が率先して平均気温上昇の抑制に尽力しなければ、世界的な不作や水不足といったさらに大きな影響がもたらされることになるだろう。過去の生物の二の舞を踏まないためにも、我々人類は対策を打たなければならない。幸い、今人間の技術は目まぐるしい速さで進歩しており、これらの技術を使えば地球温暖化を抑制する事ができるのではないかと私たちは思う。
単に地球温暖化を抑制するといっても色々な観点からその方法を考えることができるだろう。例えば温室効果ガスの排出量を削減する方法を見出すというのもあれば、森林を増やして二酸化炭素の吸収量を増やすという方法もある。その中で私たちは雲が生成される元の物質となるエアロゾルに注目した。そもそもエアロゾルとは空気中に浮遊している直径5µm以下の微細な粒子のことを指す。エアロゾルは高湿度の環境になると雲粒を作るための凝結核としてはたらき、雲を生成する要因となる物質の一つとなる。その生成過程は様々で、地表や海面から舞い上がるものや、工場などから排出される煤煙に由来するものもある。私たちは、海洋研究の一環として海水や海洋生物を利用することによって海洋性エアロゾルを人工生成し、雲の生成量を意図的に増やすことで、気温上昇を抑制するために、降水量や日照時間を調整することができないかと考えた。
今回の研究で、私たちはその第一歩として海洋性エアロゾルを海水の電気分解によって生成し、凝結核としての能力を評価する実験を行いたいと考えた。海水を電気分解することによって海水組成の大部分を占める塩化ナトリウムが電離し、塩素や水素といった物質が生成される。今回の実験では、この現象を使って生成された粒子を風や波といった自然的な要因によって大気中に出させ、エアロゾルとしてサンプリングし、顕微鏡での観測や湿度管理下で、その凝結核能力の評価を行いたい。
具体的な実験方法について説明したい。まず、逗子海岸から海水を20L程採取して、60㎝×30㎝×25㎝の水槽に入れる。より海の環境に近づけるために、水槽縦両端に人工水流生成機、水槽上面に風流ファンをそれぞれ設置して海の波と風を再現した。水槽横両端には電源装置に接続した電極となる銅板を配置し電流を流した。このとき陽極の銅板から発生した塩素とみられる物質を水流装置と風流ファンを用いて攪拌させることで大気中に浮遊させ、スライドガラスを用いてサンプリングする。まず、このサンプルの質量、大きさなどを観測することによって電気分解によるエアロゾル生成の実用性を調べたい。次に、生成したエアロゾルを含んだ気体をサンプリングし、湿度を管理できる装置内に入れる。この装置内の湿度を加湿器によってあげていき、水滴の発生が目視で確認された時の湿度を記録する。このときの湿度をサンプルを入れなかった場合と比較することで、生成したエアロゾルが凝結核として機能した時にどれくらい雨粒のもととなる水滴を発生させやすいかを評価する実験を行いたい。
以上より、今回の研究で私たちはエアロゾル生成による気温上昇対策の一つとして、海水の電気分解による海洋性エアロゾル生成の実用性と生成したエアロゾルの凝結核能力を評価する実験を行い、雲の発生量を増加させることへの有用性を示したい。
単に地球温暖化を抑制するといっても色々な観点からその方法を考えることができるだろう。例えば温室効果ガスの排出量を削減する方法を見出すというのもあれば、森林を増やして二酸化炭素の吸収量を増やすという方法もある。その中で私たちは雲が生成される元の物質となるエアロゾルに注目した。そもそもエアロゾルとは空気中に浮遊している直径5µm以下の微細な粒子のことを指す。エアロゾルは高湿度の環境になると雲粒を作るための凝結核としてはたらき、雲を生成する要因となる物質の一つとなる。その生成過程は様々で、地表や海面から舞い上がるものや、工場などから排出される煤煙に由来するものもある。私たちは、海洋研究の一環として海水や海洋生物を利用することによって海洋性エアロゾルを人工生成し、雲の生成量を意図的に増やすことで、気温上昇を抑制するために、降水量や日照時間を調整することができないかと考えた。
今回の研究で、私たちはその第一歩として海洋性エアロゾルを海水の電気分解によって生成し、凝結核としての能力を評価する実験を行いたいと考えた。海水を電気分解することによって海水組成の大部分を占める塩化ナトリウムが電離し、塩素や水素といった物質が生成される。今回の実験では、この現象を使って生成された粒子を風や波といった自然的な要因によって大気中に出させ、エアロゾルとしてサンプリングし、顕微鏡での観測や湿度管理下で、その凝結核能力の評価を行いたい。
具体的な実験方法について説明したい。まず、逗子海岸から海水を20L程採取して、60㎝×30㎝×25㎝の水槽に入れる。より海の環境に近づけるために、水槽縦両端に人工水流生成機、水槽上面に風流ファンをそれぞれ設置して海の波と風を再現した。水槽横両端には電源装置に接続した電極となる銅板を配置し電流を流した。このとき陽極の銅板から発生した塩素とみられる物質を水流装置と風流ファンを用いて攪拌させることで大気中に浮遊させ、スライドガラスを用いてサンプリングする。まず、このサンプルの質量、大きさなどを観測することによって電気分解によるエアロゾル生成の実用性を調べたい。次に、生成したエアロゾルを含んだ気体をサンプリングし、湿度を管理できる装置内に入れる。この装置内の湿度を加湿器によってあげていき、水滴の発生が目視で確認された時の湿度を記録する。このときの湿度をサンプルを入れなかった場合と比較することで、生成したエアロゾルが凝結核として機能した時にどれくらい雨粒のもととなる水滴を発生させやすいかを評価する実験を行いたい。
以上より、今回の研究で私たちはエアロゾル生成による気温上昇対策の一つとして、海水の電気分解による海洋性エアロゾル生成の実用性と生成したエアロゾルの凝結核能力を評価する実験を行い、雲の発生量を増加させることへの有用性を示したい。