日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[E] オンラインポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-CG 宇宙惑星科学複合領域・一般

[P-CG18] 宇宙・惑星探査の将来計画および関連する機器開発の展望

2023年5月23日(火) 10:45 〜 12:15 オンラインポスターZoom会場 (3) (オンラインポスター)

コンビーナ:横田 勝一郎(大阪大学・理学研究科)、坂谷 尚哉(JAXA 宇宙科学研究所)、小川 和律(宇宙航空研究開発機構)、桑原 正輝(立教大学)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/22 17:15-18:45)

10:45 〜 12:15

[PCG18-P12] 衛星搭載FPGAによる科学衛星観測データ分類を目指した機械学習基盤の構築

*浮田 泰世1松田 昇也1笠原 禎也1 (1.金沢大学)

キーワード:FPGA、機械学習、プラズマ波動

科学衛星に機械学習モデルを用いた推論機能を搭載することで,観測データの自動分類などの高機能化が実現できる.地上での機械学習と推論には一般的にGPUが用いられるが,電力や放熱の制約が厳しい宇宙機では代替デバイスを用いる必要がある.本研究では,Zynq-7000 SoC を搭載したPYNQ-Z2 で機械学習の推論機能を実現し,科学観測データの分類を行う基盤の構築を目指す.
Binarized Neural Network (BNN) は出力計算に関わる演算の一部または全てが1 ビットに制約されたニューラルネットワークである.PYNQ-Z2 向けのBNN モデル構築をサポートするBNN-PYNQ パッケージではLFC (fully-connected network) モデルとCNV (convolutional network) モデルが構築できる.LFCモデルによるMNISTデータセットの分類では,PYNQ-Z2のFPGAによる推論はCPUによる推論に対して約2070倍高速で,GPUによる推論に対しても約1.6倍高速であることを確認した.
次に,あらせ衛星の観測データを用いて電界スペクトログラム画像の分類機能を実現した.電界スペクトログラム画像を50×50 pixelのブロックに区切り,2値化処理を施して学習と推論に用いる.広帯域静電ノイズ・コーラス・ヒスの3種類の現象を分類する機械学習モデルを構築し,96%以上の精度で分類可能であることを示した.