日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM09] Space Weather and Space Climate

2023年5月25日(木) 09:00 〜 10:30 101 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:片岡 龍峰(国立極地研究所)、Antti A Pulkkinen(NASA Goddard Space Flight Center)、Mary Aronne中村 紗都子(名古屋大学宇宙地球環境研究所)、座長:片岡 龍峰(国立極地研究所)、Antti A Pulkkinen(NASA Goddard Space Flight Center)

10:15 〜 10:30

[PEM09-06] 太陽活動領域はどのように磁気ヘリシティを注入しフレア爆発を生じるのか?

★招待講演

*鳥海 森1 (1.宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所)

キーワード:太陽フレア、コロナ質量放出、磁気ヘリシティ、数値シミュレーション

太陽フレア・コロナ質量放出は、対流層深部から磁束が浮上し、コロナに磁気ヘリシティを注入する結果として生じる。しかし、太陽内部を光学的に観測することは不可能であり、どのように浮上磁場がフレア活動領域を形成し、コロナに磁気ヘリシティを注入するのかは未解明である。そこで我々は、現実的な熱対流を深い計算領域で自己無撞着に計算する輻射磁気流体力学コードR2D2を用い、ねじれの無い磁束管の浮上を計算した。その結果、ねじれ無し磁束管は上昇流に押し上げられて太陽表面に到達し、活動領域を形成した。このことは、ねじれ無し磁束管は強い流体力学的抗力に負けて浮上できないとする従来の予測に反するものである。光球で測定したヘリシティ注入量は有限(ノンゼロ)であり、その量はねじれ有りの場合の50%に達した。詳細な解析により、ヘリシティ注入は、対流中の渦が黒点を回転させることで生じることが明らかになった。このことは、乱対流が磁気ヘリシティの知られざる重要な供給源であり、フレア爆発にもおそらく寄与していることを示唆する。講演では、フレア活動領域形成の重要な観測的事実を概観するとともに、数値モデリングの最新成果を紹介する。