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[PEM10-13] ひさき衛星とJuno探査機のデータを用いたイオ火山活動変化における木星磁気圏の電子分布変動
キーワード:木星、磁気圏、イオ、ひさき、ジュノー
木星は太陽系で最も強い固有磁場を持ち、高速で自転するため巨大な磁気圏を形成している。木星の内部磁気圏(<10RJ)を周回する衛星イオの表面には激しい火山活動があり、噴火ガスはイオの引力圏から脱出し宇宙空間に放出される。このガスが電離したプラズマが木星の磁場に捕捉され、木星の自転角運動量と遠心力のバランスによりトーラス状のプラズマ帯を形成する(イオプラズマトーラス)。これまでのひさき衛星の観測から、イオの噴火活動の活発化に伴い、イオプラズマトーラス内のプラズマの電子衝突発光量が増加することが判明した。更に、このエネルギー、量ともに増加したプラズマがマスローディングに伴い外部磁気圏方向へ輸送されていることも示唆されたが、ひさき衛星の視野は木星とイオプラズマトーラスを含む8RJ付近までであり、それより遠方に存在するプラズマを観測することができない。木星探査機Junoは外部磁気圏も含めた木星磁気圏全体を観測しており、ひさきの視野外での観測を行うことができる。Junoは、その場観測により電子のエネルギーを計測するが、遠方観測であるひさきから得られる電子の情報との整合性が確認されていなかった。そこで本研究では、ひさき衛星に加え、木星探査機Junoの粒子観測データを用いて、イオ噴火後の磁気圏における電子パラメータの時間変化と空間分布を求めた。まず、ひさき衛星の観測により、硫黄や酸素といったイオトーラス中に存在する主要なイオンの輝線発光量をそれぞれのエネルギー遷移に伴う波長ごとに求め、電子衝突断面積をまとめたデータベース(CHIANTI 10.0.2)と比較することで電子温度、密度パラメータを求めた。さらに、このパラメータとJuno探査機の観測で求まる電子のエネルギーパラメータを比較し、内部磁気圏における観測データの整合性を確認した。その後、ひさき衛星による内部磁気圏の観測データと、Juno探査機による外部磁気圏領域での観測データを用いて、イオ噴火後の半径方向のプラズマ輸送の様子について調べた。本発表では、ひさき観測から得られたイオンスペクトルデータから、電子の温度と密度の値を算出した結果と、Junoにより得られる電子パラメータの比較の様子についてまとめ、木星磁気圏での電子エネルギー分布の時間・空間変化からプラズマの輸送状態についての考察を述べる。