日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM12] Coupling Processes in the Atmosphere-Ionosphere System

2023年5月21日(日) 10:45 〜 12:00 101 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:Liu Huixin(九州大学理学研究院地球惑星科学専攻 九州大学宙空環境研究センター)、大塚 雄一(名古屋大学宇宙地球環境研究所)、Chang Loren(Institute of Space Science, National Central University)、Yue Deng(University of Texas at Arlington)、座長:Lin Charles(Department of Earth Sciences, National Cheng Kung University)、斎藤 享(国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所電子航法研究所)


10:45 〜 11:00

[PEM12-06] 2022年1月15日のトンガ火山噴火に伴う大気圏-電離圏変動のシミュレーション

*品川 裕之1三好 勉信2 (1.国立研究開発法人情報通信研究機構、2.九州大学)


キーワード:トンガ、火山、噴火、大気、電離圏、シミュレーション

2022年1月15日、トンガのフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山噴火に起因する顕著な大気圏-電離圏変動が観測された。主な関連現象としては、(1) 音波、重力波、Lamb波、Pekeris波などの大気波動の生成と伝搬, (2) 噴火直後の震源付近のTEC減少、(3) 数分周期の音波モードのTEC/地磁気変動、(4) プラズマバブルの発生、(5) 噴火地点を中心とするTID(伝搬性電離圏擾乱)、(6) 磁気共役点でのTEC/地磁気変動などが報告されている。

さまざまな大気波動とその電離圏への影響を調べるために、今回、全領域大気圏-電離圏結合モデルGAIAと軸対称全球3次元非静力学大気圏モデルを用いた数値シミュレーションを行った。このシミュレーションでは、非静力学大気圏モデルに火山噴火の領域で人為的に急激な温度変化を与えて、その後の中性風速度変動を求め、その結果をGAIAの背景風に加えることによって、火山噴火に起因する電離圏変動を求めた。

このシミュレーションの結果、火山噴火に伴う音波、重力波、Lamb波、Pekeris波などの大気波動やそれらに起因する電離圏変動、数分周期の音波モードのTEC変動、磁気共役点でのTEC変動などが再現され、観測結果とも概ね一致していることがわかった。また、噴火に伴って、夕方側の電離圏がより不安定になり、プラズマバブルの発生につながることも示された。本発表では、本シミュレーションの結果を報告するとともに、それに基づいて火山に伴う大気圏-電離圏の物理現象について議論を行う。