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[PEM14-P01] 衝撃波と Alfven 波乱流によるコロナ加熱を考慮したプロミネンス形成についての 1.5 次元 MHDシミュレーション
キーワード:太陽、プロミネンス、コロナ加熱
太陽プロミネンスとは、コロナに浮かぶ比較的低温高密なプラズマの塊である。その形成機構や進化過程の研究は、コロナ加熱問題との関連性からも重要である。プロミネンス形成に関しては、コロナ中に突然現れる様子から、何らかの要因でコロナ中のプラズマが凝縮していると考えられている。そのうちの有力なモデルとして、彩層蒸発-凝縮モデルが挙げられる。このモデルは、窪みを持つコロナループの足元に空間的に局所的な加熱を加えることにより熱的非平衡なループを作り、彩層蒸発により持ち上げられたプラズマがコロナ中の窪みに蓄積することで、密度の上昇に伴う暴走的な冷却を起こし、プロミネンスが形成されるというものだ。密度や温度の急激な変化は、加熱の振る舞いにも影響を与える。従って、プロミネンス形成中の熱的進化を理解するためには、冷却だけでなく、コロナ加熱機構の物理量依存性や時間変化(突発的加熱、定常的加熱)などを考慮に入れる必要がある。しかし、これまでのほとんどの研究では、加熱はアドホックな形でしか与えられていない。そこで、本研究では、コロナ加熱問題についての先行研究を参考にして、衝撃波によるエネルギー散逸機構に加えて、現象論的にモデル化した Alfven波乱流 (AWT) によるエネルギー散逸機構を取り入れた1.5次元MHDシミュレーションを行い、上記の問題に取り組んだ。ここでは、プロミネンスを形成させるために窪みを持つようなループ状の磁力線を用意して、彩層蒸発により大量のプラズマを注入するためにループの足元でナノフレアを模した局所的な加熱を追加している。結果として、(1)プロミネンスが足元に近づくと、AWTによる加熱が大きくなりプロミネンスを押し返すことや(2)形成後、プロミネンスを除いたコロナ中での平均温度が形成前と比べて低下することが新たに分かった。また、先行研究と同様に、(3)衝撃波の通過・衝突が凝縮を引き起こしていることや(4)局所的な加熱がなくなった後もプロミネンス質量が増加することを確認した。