15:30 〜 17:00
[PEM15-P08] ELFIN衛星とEISCATレーダーの同時観測イベントから探る降下電子ピッチ角と電子密度分布との関係
キーワード:高エネルギー電子降下
高エネルギー電子降下(Energetic Electron Precipitation; EEP)は、中性大気との衝突を介して、オーロラ発光や大気成分の変動といったさまざまな現象を引き起こす。様々なピッチ角をもって降下する電子が大気をどのように電離するかを理解することは、EEPによる大気への影響を定量的に把握するうえで欠かせない基礎となる。しかし、降下電子の大気中の伝搬及び2次電子生成に関わる基本的なプロセスは、十分に理解されたといえないのが現状である。最近、Katoh et al. [under review]において、そのプロセスの1つである磁気ミラー効果の大気電離に与える重要性が数値シミュレーションによって示唆された。そこで本研究は、磁気ミラー力の効果が大気電離に与える影響を観測的に明らかにすることにより、数値シミュレーションによる結果を検証することを目的とする。
本研究では、高度450 km付近を編隊飛行するELFIN衛星(ほぼ同一軌道を飛行している2基のCubeSatで構成され、互いの時間間隔は小さいながら可変である)で観測された50 keV-7000 keVのエネルギー帯の電子のピッチ角データと、EISCATトロムソUHF/VHFレーダーで観測された電離圏高度60-170 kmの電子密度データを使用した。2018年9月から2022年9月までの期間に、トロムソ[19.2E,69.6N]から緯度±2度以内及び、経度±5度以内の上空をELFIN衛星が飛翔時に、EISCATと同時に観測しているイベントは42例存在した。その内、EEPによる顕著な電離が高度100km以下に存在したイベントは33例であった。数値シミュレーションには、Katoh et al.で用いられたモンテカルロ法での粒子輸送シミュレーションを用いた。このシミュレーションにより、磁気ミラー効果の有無が、大気の電離率や2次電子生成(特に後方散乱電子の生成)にどのような影響を与えるかを調査できる。本研究では、上記のELFIN-EISCAT同時観測イベントを基に、ELFIN衛星で観測された電子のピッチ角ーエネルギー分布データを入力値として数値シミュレーションを行い、大気への電子の衝突率を導出する。その衝突率から電子密度の高度分布を推定し、実際のEISCATレーダーから得られる電子密度分布と比較する。
本発表では、観測と数値シミュレーションの双方で得られた結果を比較し、ミラー効果が電子密度ー高度分布にどのような違いを生むか議論する。
本研究では、高度450 km付近を編隊飛行するELFIN衛星(ほぼ同一軌道を飛行している2基のCubeSatで構成され、互いの時間間隔は小さいながら可変である)で観測された50 keV-7000 keVのエネルギー帯の電子のピッチ角データと、EISCATトロムソUHF/VHFレーダーで観測された電離圏高度60-170 kmの電子密度データを使用した。2018年9月から2022年9月までの期間に、トロムソ[19.2E,69.6N]から緯度±2度以内及び、経度±5度以内の上空をELFIN衛星が飛翔時に、EISCATと同時に観測しているイベントは42例存在した。その内、EEPによる顕著な電離が高度100km以下に存在したイベントは33例であった。数値シミュレーションには、Katoh et al.で用いられたモンテカルロ法での粒子輸送シミュレーションを用いた。このシミュレーションにより、磁気ミラー効果の有無が、大気の電離率や2次電子生成(特に後方散乱電子の生成)にどのような影響を与えるかを調査できる。本研究では、上記のELFIN-EISCAT同時観測イベントを基に、ELFIN衛星で観測された電子のピッチ角ーエネルギー分布データを入力値として数値シミュレーションを行い、大気への電子の衝突率を導出する。その衝突率から電子密度の高度分布を推定し、実際のEISCATレーダーから得られる電子密度分布と比較する。
本発表では、観測と数値シミュレーションの双方で得られた結果を比較し、ミラー効果が電子密度ー高度分布にどのような違いを生むか議論する。